【連載】安全・確実に実施する!与薬のポイント

第6回 「薬が飲みにくい」と言われたときの工夫

監修 荒井有美

北里大学病院 医療の質・安全推進室 医療安全管理者 看護師・薬剤師

処方薬の多い現在、正しい服用のためには薬剤師、そして患者さんの最も近くにいる看護師の支援が必要になってきます。内服薬を中心に服薬支援のポイントを紹介します。


患者さんに「薬が飲みにくい」と言われたら

患者さんから薬が飲みにくいという訴えがあれば、飲みやすくする工夫をしていくことが必要です。例えば、オブラートや服薬ゼリーなどを使ったり、薬によっては散剤をカプセル化することも可能です。

散剤をカプセル化する場合は、薬剤部に問い合わせ、可能かどうかを確認してから行います。

また、「簡易懸濁法」といって、55℃程度の湯に10分程度、錠剤やカプセル剤を開封したりせずにそのまま入れて、溶解・懸濁する方法もあります。

もちろん、この方法に適さない薬があるので、薬剤部に確認しながら行ってください。避けなければいけないことは、患者さんが自己判断で粉砕したり、カプセルを開封したりすることです。

どうしても飲めないという場合は、医師や薬剤師に相談し、同様の効果が期待できる薬で、剤形の違うものに変更することを提案していきましょう。

錠剤を粉砕する場合は慎重に

錠剤の粉砕は、主に

  1. 経管栄養中である
  2. 嚥下障害がある
  3. 薬用量が規格単位(1錠・1カプセル)に合わない

などという場合に行われます。

しかし、どんな錠剤でも可能かといえば、そうではありません。薬剤によっては、粉砕することによって安定性や体内動態が変化して、期待する薬効が得られなかったり、有害な副作用が発現することがあります。これはカプセル剤の開封についても同じです。粉砕・開封が可能かどうかについては、薬剤師に確認しましょう。

また、粉砕することにより、薬効には影響はないものの、苦味や刺激臭、舌のしびれ感などが生じる場合があったり、光や湿気に対して不安定になる場合もあるため注意が必要です。

粉砕してはいけない錠剤とそのワケ

徐放性製剤

徐放性製剤は、通常の錠剤より多くの成分が含まれており、長時間作用型で、体内で少しずつゆっくり放出されるように設計されています。

そのため、粉砕したり、噛んで服用すると、一気に血中濃度が上がって、効果が強く出てしまい、危険な症状をもたらすことがあります。

しかし、徐放性製剤でも、カプセル剤のなかには、「ニトロールR」や「ペルジピンLA」などのように開封できるものもあります。ただし、カプセル内の粒が大きいと、経管栄養チューブから注入したとき、詰まらせてしまうことがあるので注意が必要です。

腸溶剤

腸溶剤は、小腸内で錠剤が崩壊して溶ける必要があります。そのため強酸性の溶液には溶けずに、アルカリ性の溶液に溶けるように、錠剤に工夫が施してあります。

それを粉砕して服用すると、胃酸で溶けてしまい、薬効が得られなくなってしまいます。ただし、経管投与で留置チューブの先が胃よりも下の場合は、粉砕投与は可能になります。

そのほか、胃腸障害などの副作用の防止を目的とするフィルムコーティング剤や、油状・液状の薬剤を収めた軟カプセル剤なども粉砕には適しません。

粉砕する前に「飲みにくい」原因を考える

嚥下機能の低下や、患者さんから「飲みにくい」などの訴えがあると、すぐに粉砕することを考えがちかもしれませんが、まずは、患者さんの服薬状況を把握したうえで、服用がうまくいかない原因をアセスメントする必要があります。

そして、その患者さんが服用しやすい適した剤形がないかどうかを調べたり、薬剤師に相談します。

錠剤以外に患者さんの状態に適した剤形がある場合は、主治医に相談して剤形を変更するとよいでしょう。そのためには、日頃から剤形の特徴を把握し、よく使用する医薬品でほかにどのような剤形があるかを把握しておくことも大切でしょう。

(『ナース専科マガジン』2013年12月増刊号「一冊まるごと薬のトリセツ」から改変利用)

次回は「薬の保管方法」について解説します。

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