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【連載】IN/OUTバランス わかるとこんなにイイコトが!

IN/OUTバランスがわかると【術後管理】がわかる!

解説 澤野 宏隆

大阪府済生会千里病院 千里救命救急センター 救急部部長兼ICU室長

解説 半崎 隼人

大阪府済生会中津病院 集中ケア認定看護師

IN/OUTバランスに関係の深い疾患の診断や治療について、輸液の側面からみていきましょう。

疾患と輸液の関係を具体的にみることによって、IN/OUTバランスについてさらに理解を深めましょう。


術後のIN/OUT管理の基本

侵襲期のIN/OUT管理

術後管理においては、INオーバーになることがほとんどです。手術内容によって、一概にいうことはできませんが、術中の不感蒸泄や出血に対して十分な輸液や輸血を行うためです。

術後の侵襲期は、傷を治すため、白血球からさまざまなサイトカインが放出され、リンパ球が炎症部位に誘導されます。

そのため、通常は閉じている血管壁の細胞にすき間ができ、水が血管外に逃げやすくなり、血管壁の透過性が亢進していきます。なおかつ、傷を治そうとしてアルブミンなどのタンパク質がたくさん使われ、血管内の水分がさらに少なくなってしまいます。

このメカニズムにより、水分が血管外に逃げる分、多めに水を入れようというのが、術中から術後、侵襲期までの考え方です。血管外に逃げた水分は、サードスペースに移動します。

利尿期のIN/OUT管理――サードスペースとリフィリング

細胞内の細胞内液をファーストスペース、細胞外の細胞外液(血漿・間質液)をセカンドスペースといいますが、これらは本来あるべきところにある水です。

しかし、体が侵襲を受けると、いつもとは違う本来体内にはない場所に血漿や間質液が染み出していきます。その外に逃げた水分が貯留する部位を、サードスペースといいます。

侵襲期が過ぎ、血漿量が増え、タンパク質が体内で合成されるようになれば、傷が治り始めます。この時期になれば、サードスペースの水分が、細胞外液に戻ってきます。この現象を「リフィリング」と呼びます。

リフィリングが起こると、腎臓への血流も多くなり、尿の排泄が始まります。これが利尿期です。

サードスペースとリフィリングについての説明図

体液とサードスペース

利尿期は、OUTオーバーになる時期です。余分な水分を尿として体外へ排出しなければ、肺うっ血になる可能性があります。肺うっ血や浮腫が起きると、呼吸困難になったり、傷が治りにくくなることもあります。

しっかりOUTオーバーにして、体液のバランスを正常の状態に戻していく必要があります。

※続いては、「電解質管理がケアのカギ」です。
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