【連載】代表的な電解質異常を学ぼう!

リンの調整機序(吸収と排泄) 3つのポイント

解説 内田 俊也

帝京大学医学部内科学講座 教授


血清Pの正常範囲

ポイント1 摂取したPは腸管で吸収、同量を腎臓から排泄

体内のPは、85%がCaとともに骨に蓄積されています。残る14%ほどが軟部組織に、1%以下が細胞外液にあります。

細胞内のPは主要な陰イオンであり、糖代謝、酸塩基平衡の維持への関与、細胞へのエネルギー供給、細胞膜の保全・維持など数多くの機能を持っています。

血清P濃度の調節にかかわる器官は、主に腸管と骨、腎臓です。骨からは1日に350mgのPが細胞外液へと放出され、同じ量が細胞外液から骨へと移行します。

食事などから摂取されたPは、60~70%が腸管で吸収され、細胞外液などに移行します。そして、吸収されたのと同量程度のPが、腎臓から尿中へと排泄されます。

糸球体で濾過された濾液のうち、70~80%が近位尿細管で再吸収されます。遠位尿細管での再吸収は10%ほどで、近位尿細管で再吸収された残り=腸管で吸収されたのと同量が、尿中へと排泄されます。

ポイント2 副甲状腺ホルモンや活性化ビタミンDが調節

食事で摂取されるPが減少した場合、糸球体濾液のPがほぼすべて再吸収され、尿中へのPの排泄もほとんどありません。

Pの摂取が増加した場合は、尿細管の再吸収閾値を超えた過剰なPが、すべて尿中へ排泄されバランスが維持されます。正常な血清P濃度は2.5~5.0mg/dlです。

血清P濃度を調節する主な因子に、副甲状腺ホルモン(PTH)、活性型ビタミンD、カルシトニンがあります。

活性型ビタミンDは、腸管でのPの吸収を促進し、PTHは骨からのPの移行を増やすとともに、腎臓での再吸収を抑制して、Pの排泄を促します。このPTHはCa濃度が低下すると分泌が亢進され、Caの吸収を促します。

【電解質異常のまとめ記事】
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ポイント3 血清Ca濃度とは反比例する

また、PとCaは結合しやすく腸管の中でリン酸Caとなり、吸収されることなく排泄されます。従って、PTHの分泌が亢進されると、血清P濃度は低下し、血清Ca濃度は上昇します。

いずれか一方が過剰の場合、結合・排泄されるため、もう一方は欠乏しやすくなります。つまり、血清Caと血清Pは反比例の関係にあるのです。

カルシトニンは、細胞外液から骨へのPの移行を増大させ、腎臓からのPの排泄を高めます。

血清P濃度の調節が阻害されると、CaやpH値にも影響が出たり、糖代謝や細胞へのエネルギー供給などが阻害されたり、神経・筋の機能異常、細胞機能障害が起こるなどの問題が生じます。

薬剤性のリン異常の原因薬剤

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(『ナース専科マガジン』2014年8月号から改変引用)

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