【連載】代表的な電解質異常を学ぼう!

【低リン血症】原因・症状・治療ポイント

解説 内田 俊也

帝京大学医学部内科学講座 教授

*2016年12月22日更新


低リン血症の原因

血清P濃度が2.5mg/dℓ未満の状態が低P血症であり、体内のP欠乏を意味します。ただし、病態によっては体内のPが正常であっても、血清P濃度が低下する、P欠乏を伴わない低P血症を呈することもあります。

低P血症の原因には、

  1. 腸管からの吸収量の低下
  2. 細胞外液からの骨への移動によるPの摂取不足
  3. 腎臓からの排泄量の増加
  4. 体内のPの分布異常
  5. P吸着薬の服用による体内Pの減少
  6. ビタミンDの欠乏

などがあります。

低リン血症の病態と原因    
I 細胞内や骨への移動 ●炭水化物負荷 ●中心静脈栄養や栄養状態の回復時 ●呼吸性アルカローシス ●骨再生 ●アンドロゲン療法時、急速な細胞増殖 ●グラム陰性桿菌敗血症
II 腎排泄増加 ●副甲状腺(上皮小体)機能亢進症 ●腎尿細管障害 ●細胞外液量の増大 ●利尿薬治療 ●低Mg血症 ●副腎皮質ステロイド治療 ●H2CO3静注
III 腸管吸収の減少、または喪失の増大 ●P摂取量の低下 ●P吸着性制酸薬投与 ●嘔吐
IV 細胞内や骨への移動と腎排泄増加の組み合わせ ●糖尿病性ケトアシドーシスの治療中 ●第3度以上の熱傷 ●痛風 ●乳酸ナトリウム静注
V 腎排泄増加と腸管吸収減少の組み合わせ ●くる病/骨軟化症 ●ビタミンD代謝に伴う尿細管機能異常 ●吸収不良症候群
VI 細胞内や骨への移動と腎排泄増加、腸管吸収の組み合わせ ●アルコール性肝障害 ●非代償性肝硬変症 ●腎移植後



※続いては、「低リン血症の症状と治療ポイント」です。

【電解質異常のまとめ記事】
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低リン血症の症状

血清P濃度が1.0mg/dl以下の状態が欠乏を伴う重度の低P血症です。この場合は、非特異的ですが全身倦怠感、食欲不振、目眩、しびれ感、知覚異常、振戦、不随意運動などがみられます。

重篤なケースでは、横紋筋融解症や溶血、うっ血性心不全、呼吸筋低下による呼吸不全などが起こることもあります。

P欠乏を伴わない低P血症の場合は、細胞障害をきたすことが少ないため、特にこれといった症状は出現しません。

低リン血症の治療ポイント

低P血症では、原疾患の治療のほかに、P薬剤投与など対症療法で症状の改善を図ります。ただし、原因や重症度などによって治療は異なります。ビタミンD欠乏の場合には、活性型ビタミンDを投与します。

低リン血症の治療ポイント

(『ナース専科マガジン』2014年8月号から改変引用)

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