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【連載】ドレーンの排液のアセスメント

脳室ドレナージ 排液の色・拍動・量の見方

解説 髙栁 知美

獨協医科大学越谷病院 脳神経外科病棟 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師


▼ドレーン(ドレナージ)について、まとめて読むならコチラ
ドレーンとは|ドレーンの種類と管理


ポイント1 排液の色をみる

こんなときは正常!

赤い血性 → 淡血性 → 淡黄色 → 無色・透明と変化する

 脳室ドレナージは、脳内出血やクモ膜下出血などの出血性病変が起こった場合、脳室やクモ膜下腔に貯留した血液や髄液(脳脊髄液)を排出する目的で行われます。

 クモ膜下出血では術後14日間は病状の悪化がないかどうか、注意を要するとされていますが、排液の色の変化がその手がかりを与えてくれます。

 脳室に留置されたドレーンからは術直後には、血性の赤い排液(血液の混じった髄液)が認められます。通常、排液の色は時間が経過するとともに、淡血性→淡黄色(キサントクロミーによって髄液が黄色を呈する)→無色・透明(髄液のもともとの色)へと変化します。

正常な排液の色の変化見本
正常な排液の色の変化

 ただし、術後に硬膜外・硬膜下に貯留した血液や浸出液を排液する目的で一時的に挿入される硬膜外・硬膜下ドレーンのような閉鎖式ドレーンでは、こうした変化は認められません。

 例えば、慢性硬膜下血腫の場合、転倒などの血腫の原因となった頭部外傷から数週間から数カ月間経過しているため、硬膜下ドレーンからの排液は暗赤色を呈することが多いのです。

こんなときは異常!

再び赤い色が濃くなる、透明度が低い、混濁している

 一旦薄くなった排液の色が再び血性が強くなって、赤い色の排液になることがあり、その場合は再出血を起こした可能性が考えられます。

 そのほか、排液の色によって確認できる重要な病態として、髄液感染があります。これは、ドレーン留置が長期間に及ぶ場合や、髄液が刺入部から漏れたり、髄液が逆流したりすることによって起こる髄液の感染です。

 もし髄液感染があれば、擬血塊などの浮遊物がある膿性の排液が認められます。排液の透明度が低く、混濁しているのが特徴です。髄液感染が疑われる時には、発熱などの感染に関する全身状態を観察し、医師に報告をします。

異常な排液の色見本
異常な排液の色

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ポイント2 拍動をみる

こんなときは正常

液面に拍動がある
 開放式ドレーンを使用する脳室ドレナージでは、排液に心臓の拍動に伴う心拍性の変動が認められます(閉鎖式ドレーンではこうした現象はありません)。ドレーンの中の液面を見ると、心拍のリズムに同調した、液面の上下運動がわかります。これが排液の拍動です。

拍動説明図

拍動とは

 この拍動が認められない場合や弱くなっている場合は、ドレーンが閉塞しているサインです。脳室ドレナージで使われるドレーンは、腹腔などに用いられる他のドレーンに比べて細いため、閉塞しやすい特徴があります。訪室時にはこのチェック法で、拍動の有無を確認しましょう。

 ただし、脊髄ドレナージの場合は、開放式ドレーンを用いていますが、脳室ドレーンのような拍動はみられません。

こんなときは異常

拍動がみられなくなっている
 拍動が認められない原因は、

1.出血によって広がった粘性の高い血液によってドレーンが詰まっている
2.ドレーンの先端が脳室壁に当たっている
3.排出するべき髄液のある場所にドレーンが挿入されていない

 などです。

 ドレーンが閉塞し、髄液や血液が体外へ排出されない状態が続くと、症状が悪化する可能性が高まるので、迅速に対応しなければなりません。胸腔ドレーンなどでは、排液を流すためにドレーンをしごくミルキングという行為を行うことがあります。しかし、ドレーンが細い脳室ドレナージでは損傷の原因となりやすいため、ミルキングは行いません。

 なお、拍動が認められない場合には、ドレーンが屈曲していないか、挿入部が汚れていないかも確認しましょう。ルート整理をしたにもかかわらず、拍動が認められなければ、医師に連絡します。

 むしろ、閉塞を改善するために、医師に依頼してドレーンの中を生理食塩水で流してもらうことがあります。それでも効果がないようであれば、CT撮影後、脳室の変化を確認し、緊急手術を検討します。

ポイント3 排液の量をみる

こんなときは正常

1時間あたり20mL以下の排出量である
 脳室ドレナージ、脳槽ドレナージ、腰椎ドレナージは、髄液の排出を主な目的とし、同時に留まっている血液も排出するものです。健康な人間の髄液は1日約500mL分泌されています。

 このうち、脳室内には常に約150mLの髄液が満たされています。それが1日3~4回入れ替わります。およそ、1分間に0.35mL、1時間では21mLが産生されています。この数値を基準にドレナージの予測量を確認する習慣をつけておくといいでしょう。

 当然、頭蓋中の出血量が多ければ排液は大量に排出されます。ですので、20mLというのはあくまでも目安であり、ドレーンの挿入直後で血液の排出が多い患者さんの場合は、血性の排液が50mLみられることもあります。

 機能が回復し、健康な人と同じように患者さん自身が体内で髄液を循環できるようになれば、排液は認められなくなります。それがドレーン抜去の時期にあたります。髄液の流出量が1日50mL以下になった段階で抜去されることが多いです。

基本の排液量説明図
基本の排液量は?

こんなときは異常

1時間あたり50~100mL以上排出する
 排液量が1時間あたり100mL以上になったら、再出血などの可能性もあります。チャンバーの位置などから、適切な排出圧が維持できているかを確認して、医師に報告します。そのうえで、医師から排出量の設定変更の指示があれば、調整をします。

 脳室ドレナージのような開放式ドレーンでは、頭蓋内圧の正常値は水柱測定で100~180mmH20に設定されています。チャンバーの位置を上下に動かすことによって圧力を変え、排液量を増減させます。

 例えば、「設定をプラス5cm上げて」「マイナス5cm下げて」というようにチャンバーの位置が変更されるので、看護師はそれにしたがってチャンバーを動かします。その後、排液量の変化を確認します。


(『ナース専科マガジン』2013年4月号から改変利用)

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