【連載】ドレーンの排液のアセスメント

腹腔ドレーンのアセスメントのポイント【排液の量・色・合併症/刺入部】

解説 齋藤 恭子

獨協医科大学越谷病院 外科病棟 副主任

【目次】


▼ドレーン(ドレナージ)について、まとめて読むならコチラ
ドレーンとは|ドレーンの種類と管理


ポイント1 表情、顔色、口調を確認

こんなときは正常

 表情や顔色に変化はなく、口調や返事もいつもと変わらない

 患者さんの表情や顔色に変化がなく、話しかけた際の受け答えの口調や内容もいつもと同じなら、正常と判断します。

こんなときは異常

 表情がぼんやりしている、顔色が悪い、返事が明瞭でない

 表情がぼんやりして、顔色が悪いという時は血圧低下が疑われ、術後出血による多量の出血などの急変の徴候かもしれません。脈に触れ、血圧を測り、急変をすばやく把握することにつなげます。

 ドレーン管理というと排液だけに着目してしまいがちですが、「一点集中」ではなく、患者さん全体を見るということを心がけましょう。

ポイント2 チューブをドレナージする

 患者さんの状態に問題がないことを確認できて初めて、ドレーンから排液バッグまでを観察します。その際に、排液バッグの排液の色や量を見るのも大切ですが、まずはドレーンの中に溜まっている排液をドレナージします。

 ドレーン内が空洞になると、体内から新たに排液が排出されてきます。この排液には、その時点での体内の状況を把握できる情報が集約されています。患者さんの今の状態をアセスメントするために必ず行います。

 患者さんと会話をしながらドレナージするといった、一連の動作をスムーズに行えるようにしましょう。

ポイント3 排液の量をみる

こんなときは正常

 1日あたり100mL以下

 排液量は当院では1日あたり100mL以下を目安にしていますが、患者さんの体重・体格などを考慮します。体格や体重によって排液量も変わってきます。

こんなときは異常

 1日あたり100mLより明らかに多い

 排液量が1時間で100mL以上あり血性の場合は、術後出血の可能性があります。全身状態を確認しましょう。

 このとき、リンパ郭清の範囲が広い、手術中の洗浄液が回収できていない、手術前から腹水が貯留していた場合も排液量が増加するので、排液の色をチェックしておきましょう。

ポイント4 排液の色をみる(切除した臓器別の異常)

こんなときは正常

 淡血性 → 淡々血性 → 淡黄色 → 淡々黄色と経過する

 ドレーン内と排液バッグ内の排液を観察します。排液の色を見て術後の日数経過による変化と、前回観察した状態と比べてどのように変化しているかに注目します。

 順調に経緯すれば、淡血性→淡々血性→淡黄色→淡々黄色と変化。通常、淡黄色になった時点の術後3~5日目でドレーン抜去となります。性状は排液バッグへドレナージすると、サーッと流れるさらさらの状態です。

排液の色、見本
図 正常な排液の色の変化

 排液の色、実際の写真
図 正常な排液の色

 排液の性状から合併症の徴候をキャッチすることができます。術後の経過に伴って起こり得る合併症を理解した上で、注意深く観察することが重要で、「これは大丈夫」「これは何かが起こっている」と判断できる力が必要です。

こんなときは異常

 血性、胆汁色(濃黄色または黄土色)、褐色、赤ワイン色、乳白色、便汁様を示す

 どの臓器を切除したかによって、考えられる異常が違います。それぞれ個別に排液の性状の変化とアセスメントのポイントを解説します。異常を認めたら、ただちに医師に報告します。

異常な排液の色と考えられる要因についての表
図 異常な排液の色と考えられる要因

胃(膵臓)切除術後

 [血液の塊が出た]

 基本的に胃の手術では感染は考えにくいことで、ドロッとした性状の液体は排出されませんが、万が一血液の塊(コアグラ)が出た場合は、死腔に血液が溜まっていることを示しています。

 [排液が赤ワイン色(上図の②)]

 胃の手術で膵臓の近くを郭清した場合や膵頭十二指腸切除をした場合に、合併症の膵液漏に注意が必要です。排液中に膵液が混じっているかを確認する検査を行います。

 膵液は周囲の組織融解作用があり、赤ワイン色(褐色調)になった場合、膵液の漏れと出血を疑います。大量出血の場合は、ショック症状の徴候として意識が朦朧として血圧低下が確認できるので、速やかな処置が必要となります。

 [排液が乳白色(上図の③)]

 乳び漏を疑います。リンパ管が損傷されると、食事開始後にこのような色の排液が出ます。

肝臓切除術後

 [排液が濃血性(上図の①)]

 肝臓手術で一番注意しなければならないのは術後出血で、性状は濃血性を示します。ドレーン抜去時期は肝機能検査の結果を含めて判断をし、当院では採血は合併症発生を予測して術後1日目、3日目、7日目に行っています。

 [排液が濃黄色または黄土色(上図の③)]

 濃黄色(または黄土色)を示した場合は胆汁漏が考えられ、胆汁性腹膜炎を併発する恐れがあります。混濁した膿のような色の場合は腹腔内膿瘍が考えられ、いずれの場合も全身をアセスメントしてただちに医師に報告します。

胆嚢切除術後

 [排液が濃黄色または黄土色(上図の③)]

 胆汁漏が考えられ、要注意です。基本的に当院ではノードレーンですが、炎症が強い場合はドレーンを採用する考え方もあります。その場合でも淡々血性で術後2日目には抜去します。

脾臓切除術後

 [血液の塊が出た]

 血液の塊(コアグラ)が出た場合は、死腔に血液が溜まっていることを示しています。血液疾患や、肝硬変で門脈亢進を止めるために脾臓を切除する場合がありますが、件数は多くはありません。

直腸切除術後

 [排液が濃血性(上図の①)]

 術後出血を疑います。ドレーンの排液が1時間に100ml.以上で血液が混じっていたら、術後出血を疑うサインです。

 [排液が褐色(上図の④)]

 縫合不全が考えられます。縫合不全では、乳白色から褐色あるいは便汁様に変化し、便臭があると縫合不全の可能性が高くなります。

 至急、医師へ報告し、経過観察か人工肛門造設による手術創の自然治癒促進を選択することになります。下部消化管手術は、特に手術部位感染(SSI)や腹腔内膿瘍のリスクが高く要注意です。

 [排液に膿が出る]

 腹腔内膿瘍を疑います。マイルズ切除術後や低位前方切除術後縫合不全などで起こる可能性があります。

腹膜炎

 [異臭がする]

 腹腔内で炎症や感染が起こると、性状の変化とともに臭いが変化し、便臭が感じられます。

ポイント5 合併症が起きていないかを確認する

 手術後の経過によって起こる合併症を把握した観察が必要です。バイタルサインの確認では、血圧低下や頻脈、発熱などを注意深く観察します。

 さらに+αとして胸部・呼吸の確認では、頻呼吸、SpO2低下などに注意します。腹部の観察では腹部膨満、腹痛・圧痛、腹膜刺激症状、腸蠕動運動の減弱や消失などを確認します。

 その他、冷汗、チアノーゼ、尿量低下なども観察のポイントとなります。

切除部位別考えられる主な合併症
表 考えられる主な合併症

ポイント6 刺入部をみる

こんなときは正常

 ガーゼが乾いている

 刺入部を覆っているガーゼを確認します。特に汚れが見られず、乾いていれば正常であると判断できます。

こんなときは異常

 ガーゼに浸出液が漏れているのが見える

 刺入部からの漏出が確認できたら、皮膚の発赤やびらんの有無についても観察し、確認できた場合は、早急に処置を行います。膵液や胆汁などが含まれる排液は皮膚に接触すると皮膚障害の原因となります。

 また、ドレーンが抜けていないかも確認しましょう。ガーゼの取り替え時期は、ガーゼに排液の漏れが確認できたとき、あるいはテープのよれや剥がれが確認できたときです。

 ガーゼ交換には患者さんの苦痛を伴うので、患者さんの痛みに寄り添ったケアを心がけましょう。

ポイント7 固定を確認する

こんなときは正常

 ドレーンが正しく固定されている

 刺入部が正しく固定されているかを確認します。ドレーンが屈曲していないか、外れそうになっていないか、テープによれや剥がれがないかを確認しましょう。

 当院では固定テープによる皮膚障害予防のために、最初に皮膚保護のスプレーを噴霧しその上にテープを張り、さらにその上にドレーンを置いてテープで固定し、ガーゼを置いて保護材を貼付しています。

 ドレーン固定方法は下図を参照してください。ポイントは、

1.固定テープに切り込みを入れて、固定力を高める
2.テープの四隅を面取りする

 です。

正しい固定の仕方説明図
図 正しい固定

こんなときは異常

 テープが剥がれかかっている、チューブが屈曲したり外れそうになっている

 テープのよれや剥がれが確認できた場合は交換します。ドレーンが屈曲している場合も、屈曲しないように固定をし直します。ドレーンが外れかかっている場合は、ただちに医師に報告します。


(『ナース専科マガジン』2013年4月号から改変利用)

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