【連載】安全・確実に実施する!与薬のポイント

第8回 ナースが知っておきたい添付文書ナナメ読み(その1)

監修 荒井有美

北里大学病院 医療の質・安全推進室 医療安全管理者 看護師・薬剤師

医薬品添付文書は医薬品情報の宝庫です。すべてに目を通すのは大変ですが、ポイントを押さえた添付文書の読み方をマスターすることで、薬を安全に、適正に使用する方法を確認しましょう。


与薬のプロセスごとに必要な情報を確認

医薬品に関する基本的情報が掲載されているのが、「医薬品添付文書(添付文書)」です。医薬品の包装ごとに添付・同封されています。これは、薬事法第52~54条の規定により、製薬会社にその作成と医薬品への添付が義務づけられている法的根拠のある情報源です。

医薬品添付文書は、版型(A4版)やページ数(見開き4ページ以内)などが定められており、掲載されている項目・内容・順序にも一定のルールがあります。

添付文書をより有効に活用するには、まず与薬業務に必要な情報が何かを把握することです。与薬業務を、(1)指示受け、(2)準備、(3)実施、(4)観察の4つのプロセスに分けて、それぞれの段階で必要と考えられる情報をピックアップしてみましょう(下図)。

与薬業務のプロセスごとに必要な情報

与薬業務のプロセスごとに必要な情報

※続いては、「添付文書」の内容について解説します。

添付文書の記載項目

医薬品は、開発後にも新しい副作用が発見されたり、有害事象が発現したり、適応範囲が広がったりします。そのため、早いものでは1~2年に1回程度の割合で、添付文書が改訂されています。

添付文書のいちばん上にある改訂年月日を確認したうえで、最新情報を確認する必要があります。

添付文書の記載項目

最新の添付文書は、「医薬品医療機器総合機構」のホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html)でも入手することができます。

ケアに必要な項目のココを読もう!

添付文書のフォーマットは、原則として前ページの図のように決められています。

特に看護師が与薬時に確認しておいたほうがよいと思われる項目をまとめました。図の番号と照らし合わせながら、読み方をマスターし、添付文書の情報を活用してください。

1 警告

右肩に赤い帯があったら、【警告】があるという意味です。内容の記載も赤字・赤枠にて記されています。

これまでに重大な副作用が発生した医薬品に記載されるだけあって、生命にかかわる内容であるためとても重要です。

手にしたとき、右肩が赤くなっているかどうかは最初にチェックし、使用するにあたって十分に注意し、また使用後も特に有害な作用が出現していないか観察が必要です。

2 禁忌

投与すべきではない患者さんの要件が赤字で記載されています。【原則禁忌】は「投与すべきではないが、ほかに選択薬がない場合には慎重に投与すること」という意味です。

患者さんの症状や原疾患、合併症、既往歴、家族歴、体質、併用薬などから、使用する医薬品の投与によって重篤な副作用などの問題が生じる可能性がないか確認します。また、患者さんの病態や年齢などから、用量を増減させる必要が生じることがあります。

3 組成・性状

組成では、有効成分の一般名称とその含量、添加物名が、性状では、識別に必要な色、味、匂い、剤形、形状、pH、浸透圧比、識別コードなどの情報があります。pHや浸透圧比は、注射薬の準備や投与の際に参考となる情報です。

  1. pH値 注射薬などを混合する際に、配合変化の可能性があるかどうかは、pHをみるとある程度予測できます。準備段階で確認して、アルカリ性と酸性の薬剤、特にpH値の差が大きい薬剤同士を一緒に混合しないようにしましょう。
  2. 浸透圧比 浸透圧比とは、生理食塩液に対する浸透圧の比です。浸透圧比が2~3より高いものを静脈注射する際には、血管痛や静脈炎が生じやすくなるため注意が必要です。また、長時間の持続点滴をする場合は、末梢ではなく、中心静脈から投与します。

(『ナース専科マガジン』2013年12月増刊号「一冊まるごと薬のトリセツ」から改変利用)

次回は「添付文書の項目4~7」について解説します。

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