【連載】基礎からまなぶ血液ガス

第7回 血液ガスデータからpHの異常を評価する

解説 南雲秀子

湘南厚木病院 看護師長/米国呼吸療法士(RRT) / 保健医療学修士(MHSc) 日本呼吸ケアネットワーク 理事

体内の恒常性を判断するのに不可欠な指標がpHです。正しく理解して、pHの異常を評価できるようにしましょう。


【血液ガスまとめ記事】
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pHをアセスメントする!

pHとは

 pHとは、水溶液中の水素イオン(H)の指数(濃度)を示しています。その値は通常1~14までとされ、7.0を中性とします。

 体内の血液の場合、

 1. 酸性・・・Hが過剰
 2. アルカリ性・・・Hが不足

 であるかを表しているものです。

 ヒトの場合は、6.8~7.8というごく狭い範囲でpHを調節するようになっています。正常値は7.35 ~ 7.45とされています。

 正常値よりも

 1. 酸性に傾くことをアシドーシス
 2. アルカリ性に傾くことをアルカローシス

 と言います。また、

 1. 7.0以下になると昏睡
 2. 7.7以上になると痙攣

 などの症状が現れます。

pHの値説明図
(図 pHの値)

pHの異常

 pH値は、PaCO2とHCO3に規定されます。この両者を評価することで、pHの異常時にどのような状態になっているかを知ることができます。

PaCO2

 PaCO2は、動脈中のCO2の量を示すだけでなく、その値によって肺胞の換気量も把握できる重要なデータです。PaCO2が上昇あるいは低下した場合には、まず換気量が変動し、pHが保たれるよう調節されます。

 この値が高ければ低換気、低ければ過換気の状態になっていることがわかります。

HCO3

 HCO3は、体内のH+を受け取り、中和してpHを一定に保つ働きをします。体内の酸の量に影響を受けますが、調節は腎機能によって行われるので、腎臓の代謝機能を知ることのできるデータとなります。

PHの評価に関わるデータの正常値

4つのpH異常を知る!

pH異常は4種類ある

1 代謝性アシドーシス

 代謝のバランスが崩れて、pHが下がり酸性に傾いている状態

こんなときに代謝性アシドーシスになる!

 1. ひどい下痢が続いた場合、消化管からの分泌物が再吸収されずに体外に排出されるため、HCO3が失われてpHが下がります。
 2. 糖尿病などによる糖代謝異常によってケトン体が蓄積され、血液のpHが下がります。(糖尿病性ケトアシドーシス)
 3. 乳酸の蓄積、腎不全、尿毒症などによる腎からのHCO3が失われて、血液のpHが下がります

2 呼吸性アシドーシス

 肺胞換気量が低下してCO2を体外に出せず、pHが下がり酸性に傾いている状態

こんなときに呼吸性アシドーシスになる!

 1. 呼吸数の低下
 2. 1 回換気量の低下
 3. COPDなどの慢性呼吸不全による肺のガス交換障害
 4. 死腔の増加
 5. 麻酔や薬物の影響

次のページでは「代謝性アルカローシス」「呼吸性アルカローシス」について解説します。

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