【連載】輸液ケアを極める!

輸液量(成人、小児の場合)は水分喪失予定量が原則

解説 岡元 和文

信州大学医学部救急集中治療医学講座 教授 信州大学医学部附属病院高度救命救急センター センター長

監修 岡元 和文

信州大学医学部救急集中治療医学講座 教授 信州大学医学部附属病院高度救命救急センター センター長

どんなケースにも共通する輸液管理の基本的な考え方について整理しておきましょう。


1日の輸液量=1日の水分喪失予定量

成人の場合

輸液は失われる予定分を補給するのが原則です。

成人の輸液量は、1日の水分喪失量と同じ40mL/kg/日が目安になります。

時間単位にすると1.7mL/kg/時となりますが、概算で2mL/kg/時と記憶するとよいでしょう。

小児の場合

子どもの輸液量を同様に水分喪失量から概算すると、体重あたりの1時間の輸液量は、1歳で4mL、3歳で3mL、9歳で2mLとすることができます(表)。

これらの量を大幅に超えて輸液すると、肺水腫など重大な事故につながる可能性がありますから、正確な量の輸液が行われているかを常に確認しておかなければなりません。

輸液ポンプを使っている場合も機械任せにせず、滴下量を目でも確認し、ダブルチェックを必ず行いましょう。

小児の維持輸液

表 小児の維持輸液


【計算してみよう】
* 【問題】500mlを60ml/h 小児用ルートで投与する時、30秒間の滴下数は?
* 【問題】200mlを50ml/h 小児用ルートで投与する時、5秒間の滴下数は?


無尿、浮腫や肺水腫がある場合の輸液量に注意

腎不全で尿がまったく出ていない場合

腎不全で尿がまったく出ていない場合などは、「出ないものは入れない」という原則に基づき、輸液量を不感蒸泄と便によって失われる量だけにします。

成人でおおよそ17mL/kg/です。

体内に大量の水が貯留している場合

また、浮腫や肺水腫があり、体内に大量の水が貯留している場合の輸液では、点滴のラインが詰まらない程度の最低限の量、10mL/時程度まで減らすことがあります。

治療によって尿が出てきたら、尿量に応じて輸液量を増量していきます。

従って、重症のケースでは、尿量を時間ごとに正確に把握する必要があります。

浮腫や肺水腫の治療には利尿薬を使いますが、一気に大量に水を排泄させてしまうと、循環血液量の急激な減少を招き、ショックや腎血流量の低下から腎不全を引き起こすことがあります。

どのくらいの水分を抜くかは循環動態をみながら検討することになりますが、基本は「1日に不感蒸泄分程度の水分を減らす」ことです。

ショックを予防するためには、昨日より今日がよくなればよいという考え方で輸液量や薬物投与を考えるべきです。

利尿薬の種類によっては、血清カリウム値にも注意が必要です。

(『ナース専科マガジン』2012年4月号より転載)

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