【連載】Newsのツボ

2交代勤務の問題点。2交代勤務を乗り切る睡眠のコツ

解説 佐々木 司

労働科学研究所 慢性疲労研究センター長/理学博士

2交替勤務は、生活や健康にどのように影響するのかを解説します。


2交替長時間夜勤は安全・健康・生活に問題

1 安全性

まずは「安全性」についてです。

長時間夜勤は、日中に進展した疲労に加え、本来睡眠に適した夜間に起き続けるため、安全性に悪影響を及ぼします。 実際豪州のドーソン教授らの研究によると、夜勤の作業効率は、酒気帯び運転と同様かそれ以下の危険性があるという結果が出ています。

2 健康性

「健康性」では、短期的、中期的、長期的なリスクから考えることができます。

【短期的リスク】

短期的リスクは、疲労の亢進です。

特に問題となるのがリズム障害と情動ストレスです。

リズム障害とは、夜勤や交替勤務を行うことによる生体リズムの乱れで、情動ストレスとは、患者さんの死との遭遇や患者さんの暴言・暴力などによるストレスです。

どちらも人間の根本的な機能を担っている大脳中枢に影響するため、回復が遅く、慢性疲労へとつながるのです。

【中期的リスク】

中期的リスクは、循環器系機能への負担です。

長時間夜勤後は、著しい疲労によって「爆睡」になりがちです。

それによって脳の疲労回復は促進されますが、心拍数や血圧の上昇が生じてしまうのです。

実際、睡眠中の突然死が多いことが知られています。

【長期的リスク】

長期的リスクは、発がん性です。

WHOの国際がん研究機関は2007年に「夜勤はおそらく発がん性がある」と発表しました。

発がん要因は5段階に区分されており、夜勤は上か2番目のグループ2A。

この原因は夜間の人工照明の曝露、特に波長の短い青色光に問題があります。

これにより抗腫瘍、抗酸化作用のあるメラトニンが抑制され、女性では女性ホルモンのエストロゲンが上昇して乳がんに、男性では男性ホルモンのテストステロンが上昇して前立腺がんになるとされています。

ですから、夜間起きている時間はできるだけ短いほうがよいのです。

3 生活性

最後の「生活性」の低下とは、夜勤・交替勤務で働く看護師には、日勤で働く人よりも生活に不利な点が生じやすいという意味です。

例えば、看護師は夜勤によって生活時間がずれるため、

  1. これだけはやる
  2. やらない、あきらめる
  3. ためておいて後でまとめてする
  4. 代わりのもので済ます

といった4つの生活調整を行っているとされます。

長時間夜勤明けは勤務間隔時間が長くなるため、この生活調整から解放されると思いがちですが、疲労回復にはかなりの時間がかかり、結局は今までと何ら変わりはないのです。

二交代勤務を乗り切るための睡眠のコツ

コツ1 睡眠の本来の意味を知る

脳は熱に弱い臓器です。

睡眠の本来の意味は、夜間に眠ることで体温を下げることにあるのです。

例えば、頭を冷やすなど体の中心部の体温を下げると、眠りやすくなります。

コツ2 光の影響を知る

ヒトは光に敏感で、光は体温リズムをずらします。

ですから、夜勤で長時間人工照明を浴びた後、さらに日光を浴びると、体温が高くなり、眠れなくなってしまいます。

帰宅時にサングラスで日光を浴びないようにすると、その後の入眠がスムーズになります。

ただし、自動車通勤の人は、運転中のサングラスは眠気を促してしまいますから、病院で仮眠をとってから帰宅することをお勧めします。

コツ3 眠れる時刻を知る

人間には生理学的に眠れる時刻(夜間、14〜16時)と眠れない時刻(10時、19時)があるので、これをうまく利用しましょう。

コツ4 爆睡は2日間まで

一気に眠ろうとする「爆睡」には危険性があります。

どうしても、爆睡しなければならないときには、2日間が限度であることを覚えておきましょう。

コツ5 夜間に2時間以上は眠る

爆睡を避けるためには、いつも寝ている時刻帯に2時間以上の仮眠をとれば、生体リズムが日勤志向型に維持される効果があります。

コツ6 寝つきを重要視する

睡眠で最も大切なのは寝つきです。

実は、朝目覚めたときの気分というのは、入眠前の寝つきの意識が反映されています。

自分なりに入眠を促進する習慣「睡眠儀式」を持ちましょう。

コツ7 情動ストレスを睡眠時まで持ち越さない

疲労の原因である情動ストレスは、目がキョロキョロ動き、夢を見る働きのあるレム睡眠によって解消されます。

長時間夜勤の後の睡眠では、そのレム睡眠が少なくなってしまうので、起きているときに屋外に出て、情動ストレスを解消しましょう。

それには、レム睡眠と同じ目の動きが生じるウインドーショッピングが最適です。

次ページでは、「夜勤に関する看護師のコメント」を紹介します。

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