【連載】CKD患者さんのケア

第12回 食事制限を守れないCKD患者さんへの対応

解説 宮崎木の実

聖隷佐倉市民病院 A4病棟 看護係長

解説 内田明子

聖隷佐倉市民病院 看護次長

腎臓に負担をかけないように食事が制限される食事療法は、CKDケアの核であるといえます。
しかし一方で、患者さんにとって食べることは、生活するうえでの大きな楽しみでもあります。

指導しても制限が守れない患者さんには、「守れない」理由がある場合が多く、それを明確にする必要があります。


食事制限を守れなかった事例

事例1

営業マンをしていた患者さんは、透析療法を受けていることを会社の人たちには伝えていませんでした。
そのため、接待や職場の仲間とのつきあいなどでお酒や食事の席を断ることができず、制限が守られないということでした。

事例2

一人暮らしの高齢の女性は、家にいると食べることしか楽しみがなく、寂しさも手伝ってつい食べ過ぎてしまうという例もありました。

対応1

「傾聴と共感」で行動変容を促す

こうした患者さんに対する行動変容のアプローチとしては、まずは患者さんの話や訴えをじっくり聴くという「傾聴」の姿勢が大切です。その話から患者さんの生活背景を知ることで制限が守られない原因がわかってくることがあります。

そのうえで、守れない理由に「共感」を示すことも必要です。

共感できれば、患者さんに寄り添ったアドバイスや、守られない状況のなかでも、少しでも改善につながる情報を提供することができ、患者さんに「これなら守ることができるかもしれない」と思ってもらえればしめたものです。

前述の高齢の女性患者さんの場合でいえば、患者さんの話をよく聞いているうちに、短歌やいけ花が趣味であることがわかりました。そこで気持ちを趣味に向ければ、趣味に打ち込んでいる間は、食べることを忘れていられるのではないかとアドバイスしたところ、食欲を少し抑えられるようになったとのことです。

対応2

調理の工夫を提案する

また、制限が多いなかでも、調理の工夫を伝えることで食べられる料理のバリエーションが増えれば、満足感もアップするでしょう。栄養士とも相談し、なるべく調理の手順がシンプルで、身近にある食材でできる簡単クッキングを伝えてあげられるとよいでしょう。

最近では低リン食品や低カリウム食品、低ナトリウム食品など、治療用特殊食品の種類も増えています。

こうした食品についての情報提供も効果的です。

(『ナース専科マガジン』2010年2月号から改変利用)

ページトップへ