【連載】不安定な血糖値はこうしてコントロール!

最新治療薬ガイド【インスリン製剤】

解説 松田昌文

埼玉医科大学総合医療センター 内分泌・糖尿病内科 教授


インスリン製剤

インスリン製剤

インスリン製剤の作用のしくみ

インスリンは、膵β細胞から分泌されるペプチドホルモンの一種で、血糖値の恒常性維持に重要です。人間は、基礎代謝をまかなうために、肝臓から一定量のブドウ糖が供給されています。

そして、この供給量と身体へ取り込まれる量のバランスをコントロールするために、インスリンも24時間一定量が分泌されます。これを基礎分泌といいます。

一方、食事によって血糖値が上がった場合にインスリンが分泌されることを追加分泌といいます。この追加分泌によって、ブドウ糖は筋肉や脂肪組織に取り込まれ、肝臓からのブドウ糖の放出が抑えられ、血糖値が下がります。

インスリン療法は、このような働きをするインスリンを注射で体外から補給し、体内での量を増加させたり、血糖降下作用による糖毒性を改善してインスリンの働きをよくするものです。インスリン療法が糖尿病の根本治療となります。

インスリン製剤の適応

  1. 1型糖尿病
  2. インスリン依存状態
  3. 糖尿病ケトアシドーシス
  4. 高血糖高浸透圧症候群
  5. 乳酸アシドーシス
  6. 重症肝・腎障害
  7. 重症感染症
  8. 外傷
  9. 中等度の外科手術
  10. 妊婦
  11. 静脈栄養時
  12. やせ型で栄養状態が低下している
  13. ステロイド治療により高血糖を呈している
  14. 糖毒性の解除が必要

インスリン製剤の基本的な使い方

インスリン療法は、作用発現時間や作用持続時間の違うインスリン製剤を組み合わせて、生理的なインスリンのパターンを再現して、血糖値を安定させます。このとき、患者さんの生活状況を考慮することも重要です。

生理的インスリン分泌に最も近いものが強化インスリン療法です。その一例としては、超速効型インスリンまたは速効型インスリンを毎食前3回、朝食時に中間型インスリンまたは持効型溶解インスリンを注射する方法があります。

現在、インスリン製剤の投与経路は注射のみです。

  1. プレフィルド/キット製剤(製剤・注入器一体型使い捨てタイプ)
  2. カートリッジ製剤(専用インスリンペン型注入器に装着して使用)
  3. バイアル製剤(インスリン専用シリンジで注入)

があり、患者さんの病態だけでなく、インスリン製剤の種類や用法への理解力、さらに自己注射のための手技力、家族のバックアップなどを考慮して選択します。

インスリン製剤の注意点

インスリン製剤で最も多い副作用は低血糖です。そのため、低血糖の起こりやすい要因や、低血糖時の対応などの患者指導がとても大切です。

患者さんは、基本的に自己注射によってインスリンを投与します。ですから、注射の手技が適切に施行されることが重要になります。投与を行っていても、しっかりと薬剤が注入されているかどうか、定期的に確認することが必要です。

各種インスリン製剤の作用

各種インスリン製剤の作用

各種インスリン製剤の吸収特性と使用上の注意点

各種インスリン製剤の吸収特性と使用上の注意点
荒木栄一 著:インスリン療法 2)インスリン製剤の種類と特徴、門脇孝、真田弘美 編:すべてがわかる 最新・糖尿病、照林社、p.159、2011.より引用、一部改変

(『ナース専科マガジン』2014年9月号より改変引用)

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