【連載】ケースで考えよう!看護倫理レッスン

【看護倫理・事例】第11回<問題編>個人情報の取り扱いに悩んだケース

解説 高野春美

北里大学病院 8B病棟 係長

解説 青柳明子

北里大学病院 科長

解説 児玉美由紀

北里大学病院 がん看護専門看護師

日々の看護のなかに意外に多く潜んでいる倫理的問題。
それらの解決のためには、まず、倫理的な違和感に気づくセンスが大切です。

今回は、患者さんの個人情報の保護と共有に関するケースをもとに、センスを磨く練習をしてみましょう。


今回の患者さん

  1. 石川良二さん(仮名)
  2. 60歳代
  3. 男性
  4. 進行がん

石川さんは、半年前に進行がんの手術を受けましたが、再発のため再入院。
現在、緩和ケアを受けながら、夫婦で励まし合って治療に臨んでいます。

入院当初、医師から病状の説明を受けました。このとき妻と親戚が同席。

  1. 現在の妻と再婚であること
  2. 妻と親戚の間には財産問題があること
  3. 別居している娘さんが1人いるが、子どもが生まれたばかりで病院には来られないこと

をお話されました。

看護師は、退院したいという石川さん夫婦のために、在宅療養の準備に向けて調整を行い、妻に介護指導を行うことになりました。

熱心に看護師から指導を受けている妻の姿から、「1人で介護負担を背負おうとしている」とアセスメントし、「石川さんの娘さんは、出産したばかりとはいえ、なぜ面会にも来ないのだろう。一緒に介護指導を受ければ、母親の負担が減るのに」と、気になっていました。

ある看護師は、ケアマネジャーから「娘さんは妻の連れ子なので、親戚に遠慮があり、あまり口出しができない状況にある」という話を聞きました。

やっと状況に納得できた看護師は、この情報をチーム全員に伝え、情報を共有し、退院に向けて妻をていねいに支援していく方針を決めました。

こうして患者さんの個人情報を共有したことで、看護師たちは改めて一丸となって、退院に向けてケアを行うことができました。

しかし一方で、ケアマネジャーから話を聞いた看護師は、石川さんがケアマネージャーに話した個人的な情報を、勝手にチームに伝えてしまってよかったのか、患者さんのプライバシーに関する情報を、いったいどのように扱っていけばよいのか悩んでいます。

看護師のジレンマ

石川さん本人から直接聞いたわけではない個人的な情報を、本人の許可を得ずにスタッフに伝えてもよかったのか、という疑問を抱くようになりました。

しかし、もし石川さんや妻に、「ケアマネジャーから、娘さんが連れ子だという話を聞きましたが、他の看護師たちにもこの話を伝えていいですか?」と聞いたとしたら、石川さん夫婦は驚き、ケアマネジャーや看護師たちへの不信感につながってしまうかもしれません。

そこでどうすればよかったのだろうと、この看護師は悩んでいます。

(『ナース専科マガジン』2009年4月号から改変利用)

【解決編】
* <解決編>個人情報の取り扱いに悩んだケース

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