【連載】検査値の読み方

【肺炎とは?】肺炎の検査値(データ)はココを見る!

解説 和田 麻依子

昭和大学病院 呼吸器センター 慢性呼吸器疾患看護認定看護師

肺炎の看護に必要な検査データをピックアップしました。
(2018年3月7日改訂)


肺炎とは?

 肺炎とは、細菌などが主に気道を介して肺に感染し、炎症を起こした病態です。炎症反応に伴い発熱や頭痛、悪寒、関節痛などの全身症状や、脈拍や呼吸数が増加し、脱水が起こる身体症状が見られます。

 また、肺の感染により咳嗽や喀痰、頻呼吸、呼吸困難などの気道症状や、気管支粘膜や肺胞内での炎症反応により膿性痰が見られることもあります。

肺炎時の肺の様子

肺炎時の肺の様子

肺炎の種類

  1. 細菌性肺炎・・・細菌に感染することによって発症
  2. 非定型肺炎・・・病原性微生物(ウイルス、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラなど)に感染することによって発症

感染した場所(市中肺炎または院内肺炎)による分類もあります。

  1. 市中肺炎・・・肺炎球菌やインフルエンザ菌による感染が原因です。
  2. 院内感染・・・MRSA、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などによる感染が原因です。発生要因は基礎疾患による易感染性、人工呼吸器関連肺炎、交差感染、誤嚥などです。

肺炎の治療

まず重症度の判定、原因微生物の特定を行います。
抗菌薬による薬物療法がメインとなり、酸素療法や人工呼吸管理を行う場合もあります。

続いて肺炎の検査値データの見方を解説します。

肺炎の検査値データはココを見る!

1 炎症データ【白血球数 CRP】

 細菌感染では特にWBCが増加します。そのため肺炎の重症度を見たり、重症化していないかを数値の推移で見ます。数値が上昇していれば、まだ炎症が続いているということがわかります。ただし、重度な細菌感染症では、WBCが増加しない場合もあります。

 また、CRPが10mg/dL以上であれば、一般に細菌性肺炎と考えられます。しかし、この数値の高低は必ずしも肺炎の重症度を反映しないとされています。基準値が「0.30mg/dL以下」であるのに対し、肺炎ではいきなり「10mg/dL」に上昇することがあるので注意が必要です。

  1. 白血球数・・・基準値は3500~9700/μl。感染症の有無を知るために確認をします。感染源である細菌などが体内に入った場合、活動をし始めるので、基準値より高くなった場合は炎症が起きていると考えます。
  2. CRP・・・基準値は0.3mg/dl以下。炎症や組織壊死が起こっているときに急激に出現するタンパク質です。

2 SpO2

 肺炎では動脈血への酸素の受け渡しができなくなり、酸素化能が低下し、呼吸が苦しくなります。また、発熱により体温が上昇し、普段より酸素が多く消費されるので、低酸素になりやすい傾向があります。SpO2が90%を切ると低酸素状態となるので、常にこの数値を確認することが大切です。

SpO2・・・正常に酸素化が行われているかをみるための指標です。
基準値は95~98%で、呼吸不全の目安は90%以下になります。

3 血液ガス

 肺炎になると、ガス交換がうまくいかなくなります。そのため、血液ガスのデータにより、呼吸状態を観察する必要があります。

 PaO2が60Torr以下になると低酸素血症に、さらに重症化するとPaCO2の上昇がみられます。

4 胸部X線

 胸部X線は毎日撮っているので、前日と比較し肺の浸潤陰影が広がっていないかを見ます。
 
胸部X線・・・X線画像を見ると、炎症がどこで起きているかがわかります。肺葉または肺区域全体に炎症を起こしているのが大葉性肺炎。Air bronchogramという透瞭像が見られます。気管支の走行に沿って異常陰影がちらばるのが気管支肺炎。原則的には両側に肺門部から外に広がるような陰影が見られます。

5 脱水がないか確認する

 
 肺炎は発熱による多量の発汗により、in/outバランスが崩れ、体内の水分が奪われて脱水症になりやすい状態です。したがって、尿量が減少していないか、水分摂取を行えているか、皮膚は乾燥していないか、口腔内が乾燥していないかを確認し、in/outバランスを見ます。

 脱水を起こしている場合は、水分の経口摂取を促したり、経口摂取できない場合は輸液で補正します。

Na・・・発汗や水分摂取不足で起こる脱水の多くは、高張性脱水(水欠乏型脱水)です。このとき、ナトリウム濃度は高くなります。ナトリウム濃度が高値になっている場合、in/outや身体所見と合わせて脱水傾向にあるかどうかを判断することが必要です。

6 誤嚥性肺炎では栄養状態を見る

 誤嚥性肺炎を起こすのは高齢者が多く、摂食嚥下障害などで食べられない場合もあり、低栄養になりがちです。また筋力も落ちているために、低栄養状態になると急激に痩せてきます。そうなると、回復が遅れたり、さらに感染症にもかかりやすくなるなど悪循環になります。そのため、栄養状態を示す検査値を常に注意して見る必要があります。

 低栄養状態の場合は、点滴や経管栄養で補充する場合もあります。

栄養状態を確認するデータ(AlbとTP)・・・栄養状態を見る検査値は、主にアルブミン(Alb)や総タンパク(TP)です。基準値よりも低い場合は、低栄養状態にあると考えられます。また、検査値だけでなく、体重や二の腕の筋肉の厚みなども合わせて評価します。

こんなときには医師に報告

胸部X線画像を見て明らかに悪化しているとき

 重症な場合では、昼間撮影したX線画像では白い部分が一部だったのに対し、夕方には肺全体が真っ白になっている場合もあります。前回の画像と比べて、白い部分が広がっているなど、明らかに悪化していることがわかった場合は医師に報告します。
 

酸素化が低下しているとき

 肺炎が悪化すると、酸素化が低下し呼吸状態が悪くなります。そのため、SpO2が90%以下、PaO2が60Torr以下になり、低酸素血症が疑われた場合は医師に報告します。
 

炎症系のデータが上昇しているとき

 抗菌薬で治療しているにもかかわらず、炎症データが上昇しているのは、抗菌薬が合わずに症状が悪化していることが考えられます。そのため、炎症データを注意して観察し、高値が続く場合は医師に報告する必要があります。

脱水の症状があるとき

 脱水の検査データのほかに、尿が出ていない場合や、皮膚や口腔内が乾燥しているなどの脱水症状も確認して、医師に報告します。
 

痰の量や性状に変化があるとき

 通常の痰の性状は真っ白で透明ですが、それが黄色や緑色になったり、痰の量が前よりも増えた場合は、炎症が強くなっている可能性が高いので、医師に報告します。
 
 また、発熱によって体内の水分が減少すると、痰が硬くなり、粘稠度も上がるので、自分では排出できなくなり、呼吸が苦しくなります。この場合は吸引して痰を取るか、水分を多く摂るように働きかけ、場合によっては医師に去痰薬を処方してもらいます。

医師に報告するときのポイント

 SpO2やバイタルの値だけを伝えるのではなく、咳嗽や胸痛、呼吸状態などの呼吸器症状、熱や倦怠感、食欲不振などの全身症状を観察したうえで、できれば聴診による呼吸音も合わせて伝えられるとよいでしょう。

(『ナース専科マガジン』2014年10月号から改変利用)


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