1. トップ
  2. 看護記事
  3. 医療・看護技術から探す
  4. 検査値
  5. ケトン体とは?検査で何がわかるの?

【連載】検査値の読み方

ケトン体とは?検査で何がわかるの?

  • 公開日: 2014/9/27
  • 更新日: 2023/7/18

血糖値が高い場合にチェックすべき、「ケトン体」について解説します。
*2017年1月9日改訂


ケトン体とは? ケトン体で何がわかるの?

 インスリンが不十分であると、エネルギー源であるブドウ糖を細胞に取り込むことができなくなります。ブドウ糖は細胞に取り込まれず、血中に留まり、高血糖を招いてしまいます。このように細胞が血中のブドウ糖を利用できなくなると、細胞は脂肪をエネルギー源として利用するようになります。

 脂肪が分解されできた遊離脂肪酸は肝臓で酸化され、脂肪の代謝産物としてケトン体が作られて血中に増えてしまいます。ケトン体は酸であるため、これが血中に増えることで、血液が酸性に傾き、アシドーシスとなります。

 糖尿病でケトアシドーシスが起こる原因としては、インスリン注射の中断や、ストレス、感染、清涼飲料水の多飲などがあります。インスリン依存型の1型糖尿病患者さんに多く見られます。

ケトン体の基準値 = −(陰性)

【関連記事】
* インスリン(分泌と作用)と糖尿病
* アシドーシス・アルカローシスとは

ケトン体はどんなときに見る?

 血糖値が高い場合、まずは尿のケトン体の有無をチェックし、代謝異常がないかを見ます。簡易的な試験紙であるケトスティックスを使用すると早期に確認できるので血糖値とともに結果を報告します。

 しかし、ケトスティックスではケトン体の主要成分である3-ヒドロキシ酪酸に反応しないため確定診断はできません。尿検査、血液検査でのケトン体を検査する必要があります。

 糖尿病でも血糖コントロールが良好であれば、通常は尿中のケトン体は一定量以下で、尿検査では「-」と示されます。しかし、肝臓でのケトン供給が組織内での処理能力を超えると、血液中のケトン体が増加して尿中に排出され、尿検査では「±」か「+」を示します。ケトン体は酸性物質なので増加するとアシドーシスになります。

 したがってケトン体だけでなく、重炭酸イオン(HCO3-)やpHの確認も必要になります。

血液ガスの見方
糖尿病ケトアシドーシスでは、HCO3-は低値を示し、代謝性アシドーシスとなります。pHは数値が小さくなるとアシデシア(酸に傾いている)である状態を現しています。

【関連記事】
* pHとPaCO2とHCO3-との関係
* 糖尿病性ケトアシドーシスとは?
* 【糖尿病】の判断基準・症状・合併症

(『ナース専科マガジン』2014年10月号から改変利用)

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

骨折が生じた患者さんの看護計画

骨折が生じた患者さんに関する看護計画  骨折とは骨に対して何らかの力が加わり、骨としての構造や連続性が保たれていない状態をいいます。骨折は若年や高齢を問わず生じる可能性が考えられるので、今回は骨折が生じた患者さん対して看護計画を立案しました。 POINT観察計画 O-

2023/4/28

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
4位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
5位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
6位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
7位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
8位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
9位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949
10位

術前・術後の看護(検査・リハビリテーション・合併症予防な

患者さんが問題なく手術を受け、スムーズに回復していくためには、周手術期をトラブルなく過ごせるよう介入しなければなりません。 術前の検査  術前は、手術のための検査と、手術を受ける準備を...

249741