【連載】輸液ケアを極める!

【心不全】過剰な水分量を把握する観察項目

解説 岡元 和文

信州大学医学部救急集中治療医学講座 教授 信州大学医学部附属病院高度救命救急センター センター長

心不全患者さんの体内にある過剰な水分量を把握する観察ポイントについて解説します。


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1 尿量を観察する

 尿量は、輸液量を調整するために最も重要な情報の一つです。

 入院前の尿量については、正確にはわからないのが普通です。トイレの回数やそのときの尿量など、本人や家族の主観的な情報を聞き、そこから推測することになります。入院中は、特に重症例では尿道カテーテルを挿入し、1時間ごとに尿量を計測します。

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2 浮腫の程度を観察する

 浮腫については、全身状態を観察します。四肢だけでなく、脇腹など体幹までむくんでくることがあるので、見落としがないようにしましょう。

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3 呼吸を観察する

 肺水腫の有無と程度は、起座呼吸などの呼吸の様子や、聴診器による胸の音の聴取で把握します。肺水腫があると、水分が肺に貯留しているときに聞こえる特有の副雑音(コースクラックル)が聞こえます。


 仰臥位の場合では、背中側から始まり、状態が悪化するにつれて前胸部のほうでも副雑音が聞こえるようになります。逆に状態が改善していくと、副雑音が聞こえるラインが徐々に背中側に下がります。

時間ごとに副雑音が聞こえる境界線にペンでマークをつけておくと、その経時的変化を知ることができます。

4 電解質バランスを観察する

 体液の電解質バランスを把握するため、血清カリウムやナトリウムなどの数値を定期的に確認します。

 うっ血性心不全の場合、血管外に水分が漏出してしまっている状態ですが、その際、ナトリウムも血管外に出てしまいます。尿量が減少するため、血管内には水分が蓄積しナトリウムが少なくなるので、ナトリウム値に注意が必要です。また、利尿薬を使用するとカリウムが排泄されるので、カリウム値にも注意します。

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5 中心静脈圧を観察する

 中心静脈圧は、右心房圧を反映しています。中心静脈カテーテルやスワンガンツカテーテルで中心静脈圧や肺動脈楔入圧などを測定している場合は、それらのデータが心不全の程度の参考になります。

 ただし、最近ではこれらのデータはエコーでも確認できる上、カテーテルの挿入によって感染などの合併症を起こすほうが問題だとして、あまり行われない傾向にあります。

 もし必要と判断してこれらの検査を施行するなら、カテーテルの挿入期間を最小限にするのが望ましいでしょう。

6 体重の変化を観察する

 平常時と現在の体重がわかれば、過剰な水分量の推測が可能です。本人や家族から聴取したり、過去の記録などから平常時の体重を把握するよう努めましょう。

 現在の体重については、重症になると立位で測る体重計が使えず、測定できないことがあります。その場合は、つり下げ式など寝たままで測定できる体重計で測定しますが、なければ浮腫の状態などから推測するしかありません。

 体重測定が可能であれば、重症例では1日に2回以上、中等症から軽症なら1日に1回以上は測定し、その変化を観察します。

(『ナース専科マガジン』2012年4月号から改変利用)

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