【連載】検査値の読み方

【透析療法とは?】透析患者さんの血液検査データはココを見る!

解説 竹内 千草

昭和大学病院 血液浄化センター 透析看護認定看護師

透析患者さんの看護に必要な検査データをピックアップしました。


透析療法とは?

透析療法が必要な患者さんとは?

保存治療でコントロール困難な高度な溢水、電解質異常、代謝性アシドーシス、貧血、尿毒症による全身倦怠感・食欲不振 などが出現した患者さんが透析療法の対象となります。

透析導入の原因となる疾患

慢性腎不全から透析導入の原因となる疾患は、糖尿病腎症が最も多く、ついで慢性糸球体腎炎、長期高血圧を原因とする腎硬化症があります。

腎臓は細胞外液量と血液の電解質濃度の調節をする働きを担っていますが、腎機能が低下することで、この調節が出来なくなるため、透析ではナトリウム、カリウムなどの電解質を調整し、クレアチニン、尿素窒素を除去することで尿毒症を改善します。

透析療法の種類

透析療法には、血液透析と腹膜透析があります。

血液透析は血液を体外循環さえ、人工腎臓を介して、血液から尿毒症性物質や水分を除去するもので、ほとんどが透析施設において、週3回程度、1回4時間ほどかけて行われます。

透析の流れ

透析の流れ

続いては検査データの見方です。

検査データはココを見る!

1 透析の効果を見る

透析により老廃物がキチンと体外に除去されているかを評価するために見る検査項目は尿素窒素やクレアチニンです。

透析前後の数値を比較することで、透析による老廃物の除去量を確認します。

2 腎不全による貧血の程度を見る

腎機能の低下により、赤血球の産生を促進するホルモンであるエリスロポエチンの産生が低下するため、貧血になりやすく、腎機能正常者とは目標値が異なることが特徴です。

ヘモグロビンの数値が低いときに貧血が疑われますが、原因がエリスロポエチンの産生低下か、鉄分不足かを判断するために、フェリチンを確認します。

鉄欠乏性貧血であれば鉄剤を投与します。

  1. ヘモグロビン・・・・基準値は10~11g/dl。ヘモグロビンは赤血球の中に含まれる血色素の濃度を示し、貧血の指標となります。安定した患者さんでは月に1~2回採血し、エリスロポエチン製剤の量が適正か確認します。
  2. フェリチン・・・基準値100ng/ml以上。組織の貯蔵鉄の量を反映。鉄欠乏状態では低値となります。体内で鉄分が不足すると、まず貯蔵鉄を使って補い、貯蔵鉄で補いきれなくなると、血中の鉄分を使用して補います。それでも不足するとヘモグロビンが低下してしまいます。

3 骨代謝を見る

骨はリンとカルシウムが結びついて作られます。

腎機能正常者では、食事から摂取したリンは腸から吸収され、骨などの必要な組織に運ばれ、残りは尿から排泄されますが、腎不全では排泄されず、蓄積しやすくなります。

そのため、リンを抑えるために透析、リン吸着薬の服用、食事でのリンを制限します。

腎不全では、ビタミンDの活性化が障害されるため、カルシウムの吸収が低下し、血中のカルシウムが低下します。

血中のカルシウムの低下とリンの上昇は、副甲状腺ホルモンの分泌を促し、骨からカルシウムが出てきたり、骨がもろくなったり、骨以外のところに石灰化が起こる危険があります。

リン・・・基準値3.5~6.0mg/dl

カルシウム・・・基準値8.4~10mg/dl

4 電解質を見る

尿がほとんど出ない患者さんが、生野菜や果物などカリウムを多く含む食品を摂りすぎると、高カリウム血症をなり、十度では不整脈や心停止を起すこともあり危険です。

カリウム値が上がりすぎないように、食事や薬、透析で調節する必要があり、患者さんには、カリウムを含んだ食品を摂りすぎないように指導します。

  1. カリウム・・・基準値3.5~5.5mEq/l

5 栄養状態を見る

腎不全ではタンパク合成能の低下と異化亢進が起きるため、透析患者さんの半数近くは栄養状態が悪いと言われています。

栄養状態は患者さんの生命予後と関係します。

そのため、栄養状態の指標となるアルブミンと血清総タンパクの検査値に加え、体重、BMI、体脂肪率、食欲、食事摂取状態、咀嚼状態、浮腫、皮膚、爪などを合わせて評価します。

  1. アルブミン・・・基準値3.5~5.0g/dl (3.5g/dl以下で死亡リスクが高まると言われています。)
  2. 血清総タンパク・・・基準値6.2~8.3g/dl

(『ナース専科マガジン』2014年10月号から改変利用)

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