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【連載】日本一若い!? 訪問看護師の挑戦

第72回 デスカンファがくれた宝物

執筆 川添高志

ケアプロ株式会社・代表取締役社長

前回に引き続き、入職してすぐの頃に、看取りを経験したスタッフのエピソードを紹介します。


在宅だからこそできるケア

肝臓がんを患うNさんは、自宅で3人の娘さんとその家族に支えられながら最期を迎えようとしていた。健啖家のNさんらしく、亡くなる1週間前の昏睡状態が続いていた時でも、ヨーグルトをほんのわずか口に含ませると、ちゃんと「ゴックン」してくれる。

訪問看護師として在宅医療を支える田川はこう話している。「病院だったら絶対に考えられませんが、往診医も本人も家族も望んでいるなら、やらせてあげよう、という方針でした。やるからには、私たちは口腔ケアを確実に行いましょうとヘルパーさんと決めていました。在宅療養だからこそできることですね」

その人らしい最期

亡くなる前日の朝、田川は娘さんたちに死の直前の状態を説明していた。娘さんたちも「田川さんが言っていたように、母の呼吸が弱くなってきたのですぐに連絡しました。食べることが好きな母なので、大好きなリンゴのヨーグルトを綿棒の先につけて口に含ませました」と話していることから、Nさんの異変にも冷静に対処できたようだ。

そして翌朝、娘さんら家族が朝食を食べている間に静かにNさんは息を引き取ったのだ。朝食のいい匂いが漂う中で最期を迎えたNさん。「食いしん坊のお母さんらしいね」と泣き笑いの娘さんたちだった。

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