【連載】Newsのツボ

どう埋める?看護と介護の間にある溝

解説 式 惠美子

了徳寺大学健康科学部看護学科教授 看護師 社会福祉士 介護支援専門員

今回は、「高齢化社会における医療・介護の今後」について解説します。


高齢化社会における医療・介護の今後について

今後の傾向については、社会保障・税の一体改革に際してまとめられた資料によると、厚生労働省では、全体の医療・介護サービスの需給に対し、在宅の割合がより増えることを見込んでいます。

医療においては、一般病床(高度急性期・一般急性期・亜急性期・回復期リハ等の各病床を合算)の必要ベッド数は、25年度には現状の129万床から103万床になるとしています。

平均在院日数も大幅に減少し、例えば一般急性期の場合、13~14日から9日程度になるとしています。

一方、在宅医療・介護サービスでは、在宅医療利用者数が1.4倍程度、居住系・在宅介護利用者数が1日あたり25万人程度増えることを見込んでいます。

これらはあくまでも見込みですが、国は「病院には医療スタッフを厚く配置して集中した治療を行い、短期間で在宅に移行させ、十分なスタッフによる手厚い在宅医療・介護サービスを行うことで、より長期化する在宅療養・生活を支える」という将来的なシナリオを想定していることがわかります。

看護と介護の分野の間にある理解不足

2012年の診療報酬改定では、退院調整加算や地域連携計画加算など、地域連携に関した加算が新設されています。

私は、これが病院に勤務する看護師にとって、地域の医療・介護サービスに目を向けるよいきっかけになったのではないかと考えています。

私は看護師として長い間医療機関の現場で働いてきました。

そして、増え続ける高齢患者さんと接する中、高齢患者さんをケアするには、もっと福祉や介護の視点が必要なのではないか、と考えるようになったのです。

これを契機に勉強を始め、社会福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得し、介護福祉士教育に携わるようになりました。

このように看護と福祉・介護の両経験を通し、私が一番感じているのは、看護と介護の分野は隣接しているにもかかわらず、お互いの理解が不足しているのではないかということ。

実際、それが原因の現場でのトラブルを耳にすることは少なくないのです。

看護師も介護福祉士も同じ国家資格です。

しかし、その歴史には差があります。看護師は、現在のような独立した専門性と立場を獲得するために、100年余りにわたって、切磋琢磨し、努力を続けてきました。

それに対し、介護福祉士は誕生してからまだ25年ほどです。

いうなれば、まだ発展途上。

自分たちのアイデンティティーの確立を目指しているところといえるでしょう。

国家資格ではありませんが、訪問介護員(ホームヘルパー)も同様で、講習時間を増やすなど、専門職としての知識・技術が重視されるようになってきており、13年度からは新たな研修制度が施行されます。

ですから、看護職の皆さんは、このような背景を理解した上で、介護職の皆さんの、確立されつつある専門性と努力する気持ちを認め、尊重してほしいのです。

介護職の皆さんは、介護分野での専門性の確立を求めて、自らがどうあるべきかを考え、それに向けて邁進してほしいのです。

そうして看護職と介護職のお互いが、専門職としての仕事や立場を理解し合い、敬意を払うことで、自分たちの役割がみえてくるのではないかと思います。

ナース専科コミュニティ会員のみなさんからコメントをいただきました。

Nurse’s Comments

●病院でも患者さんの介護度は高く、看護師の負担となっているため、看護と介護が連携して患者さんをみれることは、よいことだと思う。また、医療・介護の報酬改善につながればよいと思う。(ちい 福島県)

●在宅介護には限界があるため、施設サービスの利用は今後増えると思う。しかし、そこで働く人材が不足しているので、施設看護師や介護職員を育成する体制の強化も必要だと思う。(IK 埼玉県)

●国は在宅療養を推進していますが、現実は老々介護であったりして厳しい面もたくさんあります。また、医療依存度の高い要介護者は施設選択についても厳しい現実があり、その需要と看護と介護の連携についても関心があります。(うさこ 長野県)

●デイサービスでは介護と看護の領域が曖昧でした。人手が足りず、安全を考慮して、介護の援助をしたら、看護師はそんなことをしてはいけないと先輩看護師に言われ、疑問に感じたことがあります。(茜 神奈川県)

●老健施設などが増えるのはよいのですが、ナースの立場がとても狭い気がします。施設に行けば介護職の方々が権力を持っている感じで、働きにくいです。(まいとも 熊本県)

●高齢者が増加しており、各種サービスを利用する人が増えています。まだ介護認定を受けておらず、退院後にサービスを利用したいという人も大勢いるため、退院支援の一環として介護認定と介護サービスについて知っておきたいです。(かん 青森県)

●看護職と介護職の連携が難しくて困っているため、もっと介護について知りたい。(めぐみ 鹿児島県)

●今後医療と介護はもっと密にかかわっていくべきで、そのためには、それぞれの専門的知識を生かしていかなければならないと思う。(さくら 岡山県)

●病院でも、介護の現場でも、マンパワーの供給の少なさを感じています。この先、高齢化が進む中、現状を打破するためにどのような動きがあるのか、またどのように自分たちが貢献していけるのか・・・と考えずにはいられません。ちなみに、今年のケアマネの試験にチャレンジして、何かの役に立てられたらと思っているところです。(うみ 岐阜県)

●在宅でケアに必要なものは、看護だけではありません。看護も介護も利用者さんや家族にとって一番良い方法は何かを考え、連携することが大切だと思います。(夏バテ 埼玉県)

●年々さまざまな加算が新設されますが、要介護者1人が使える点数は変わらないため、加算が付くことでほかのサービスを削らなければならないなどの問題も生じていることも知って欲しいと思います。(H・M 神奈川県)

●現在、外来で総合案内と健康相談の業務にかかわっており、介護保険とその内容、病院と事業所との連携、ケアマネとの調整などについて、直接連絡することがあります。そのため、介護についてはいつも新しい情報をキャッチしておくようにしています。(maco 滋賀県)

●現在療養型病棟に勤務中で、介護職の方と仕事をしているため、介護には関心を持っています。高齢社会である日本では看護と介護は切っても切れない関係だと思います。(M 静岡県)

●介護の需要の増加は、高齢社会で少子化である今、予測できる結果。それに応えるだけの、国の支援体制、介護職・看護職の確保、適切な介護の提供、今後も増える利用者への対応ができるのか知りたい。(moko 大分県)

●介護需要がますます増大することは間違いなく、それに対して介護保険制度や財源はあまりにも脆弱。行政の場当たり的な制度の変更では対応できず、財政的にもマンパワー的にも破たんするのではないかと思う。(美音子 京都府)

●団塊の世代が介護サービスをどのように受け止め利用するのか。サービス内容がどのように変化するのか。介護職も専門性を高めていく方向で、今後どのようになるのか。看護職と介護職がどこまで歩み寄り連携を深められるのか。関心は尽きません。(もも 岩手県)

●看護師として働いていますが、介護福祉士の資格も取得しているので、介護にも興味あります! やはり、看護職と介護職の連携、チームワークが大切だと思う。実際は難しいですけどね・・・(ハムハム 宮城県)

●介護サービスについては、近年、患者さんによく質問されます。(iberiko 兵庫県)

(『ナース専科マガジン』2012年10月号から改変利用)

ページトップへ