【連載】心不全と呼吸不全のアセスメント

心不全による消化器症状(嘔吐、便秘など)とは?

解説 小田 真澄

榊原記念病院 慢性心不全看護認定看護師

消化器症状を、心不全と関連付けて考えることは、なかなか難しいことです。そこで今回は心不全による消化器症状とその原因について解説します。
2018年2月23日改訂


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心不全の看護|原因、種類、診断、治療


心不全による消化器症状

 1. 食欲不振
 2. 嘔気・嘔吐
 3. 腹部膨満感
 4. 腹痛
 5. 下痢
 6. 便秘

 などがあります。

消化器症状の原因

 心不全による消化器症状は、全身の静脈のうっ滞からくる腸管浮腫や肝腫大が原因で出現することがほとんどです。消化器症状と同時に下肢に浮腫や末梢冷感を認めたら、心不全と考えてよいでしょう。ほかにも、胸水や腹水、体重増加などが認められます。


 体静脈のうっ滞は、右心不全が原因となって引き起こされます。右心不全になると静脈圧が上昇し、水分の血管外漏出が起こり、浮腫へと進行します。しかし、心機能がある程度保たれていれば、消化器症状までは出現しません。そのため、消化器症状が出現する前に治療を開始することができれば、ある程度の状態の改善が期待できます。
 
 しかし、もともとの疾患の病態が思わしくなく、繰り返し心不全を起こしている場合には、消化器症状が出やすくなります。そのため、消化器症状を確認したときには、心不全がかなり進行している状態で、緊急度は高いと考えるべきです。
 

消化器症状を患者さんが訴えたら

 患者さんの訴える消化器症状を聴いて、すぐに心不全と関連づけて考えることは、なかなかないでしょう。患者さんが訴えている症状は、まさに消化器疾患のものであり、異常所見は見当たらないのですから。

 そこで、まずは患者さんの基礎疾患と既往歴を確認します。このとき基礎疾患、既往歴のどちらかに心疾患があったら、心不全が原因の消化器症状を念頭に置きます。

特にここに注意!

 急激な利尿は血圧低下を招き、心臓にさらに大きな負担をかけることになります。そのため、静脈うっ滞によって生じた余分な水分は、時間をかけて徐々に抜いていくことになります。利尿剤の使用には注意が必要です。

 消化器症状ということで、見た目にはそれほど重症感はありませんが、慎重に、注意深く観察していくことが重要になります。

(『ナース専科マガジン』2014年11月号から改変利用)

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