お気に入りに登録

【連載】高齢者とくすり

高齢者の薬物動態|薬に影響する加齢の3つの変化

解説 秋下 雅弘

東京大学医学部附属病院 老年病科 教授

0e5d3e65bd6efe63d378a993814939bc

加齢によって変化する薬に関わる3つの機能について解説します。


1 薬物動態の変化

薬物動態とは、吸収された薬物が血液循環にのって、目的の臓器や部位に分布され、一定期間作用して肝臓で代謝され、尿中に排泄されることをいいます。

薬物動態の各プロセス(吸収・分布・代謝・排泄)は、加齢によって以下のように変化します。

吸収

多くの薬物は受動拡散によって吸収されるため、能動輸送される(ビタミンや鉄)以外は加齢による薬物吸収への影響は少ないと考えられています。

分布

  1. 水溶性薬物・・・高齢者は細胞内の水分量が減少するため、血中濃度が上昇しやすくなります
  2. 脂溶性薬物・・・高齢者は体脂肪量が増加するため、蓄積しやすくなります

代謝

代謝は主に肝臓で行われますが、加齢に伴い肝機能が低下するため、代謝が低下してしまいます。

排泄

排泄は主に腎臓で行われますが、腎機能が低下し、薬物が体内に蓄積されやすくなります。

2 生理・認知・感覚機能の変化

生理機能

一般的に加齢により、生理機能は低下します。
たとえば、循環器系の機能低下では、心拍出量の低下や動脈硬化によって血流量が低下し、薬物の吸収量が減少してしまいます。

認知機能

認知機能が低下すると、薬効や用法などへの理解が不足し、薬剤の飲み忘れや誤服用が発生してしまいます。

感覚機能

聴力の低下は医療者とのコミュニケーションに支障をきたします。
視力の低下は用量の見間違いや薬物の取り間違いなどの問題が生じます。

>> 続きを読む