【連載】高齢者とくすり

高齢者が服用する場合は要注意!3つの睡眠薬・抗不安薬

解説 樋坂章博

千葉大学大学院薬学研究院

解説 大野能之

東京大学医学部附属病院 薬剤部 助教

高齢者が服用する場合に注意を要する睡眠薬・抗不安薬について解説します。


高齢者が服用する場合は注意が必要な3つの睡眠薬・抗不安薬

  1. バルビツール酸系睡眠薬
  2. ベンゾジアゼピン系睡眠薬
  3. ベンゾジアゼピン系抗不安薬

作用機序と副作用

バルビツール酸系睡眠薬

バルビツール酸系睡眠薬は、中枢神経に対して抑制作用を示します。

ふらつきなどの副作用が現れやすく、慎重な投与が必要です。

また、連用中に投与量を急激に減少したり、突然中止することによって不眠、不安、痙攣などの離脱症状が現れることがあります。

過量に投与すると生命に危険が及ぶケースもあり、基本的に、高齢者への使用は控えます。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、大脳辺縁系に働きかけ、神経伝達物質(GABA)の作用を高めることで、催眠効果を発揮します。

不眠症治療によく用いられる薬ですが、長時間型については日中の眠気、ふらつき、頭重、めまいなどの副作用があり、注意力の低下や転倒を起こすリスクが高まります。

長期にわたる服用では依存などの問題も生じやすく、高齢者への使用を控えるか、慎重に投与すべき薬です。

また短時間作用型の薬についても、トリアゾラムのような鎮静作用の強い睡眠薬は、一過性の前向健忘や夢遊症状を引き起こしやすくなります。

中途覚醒することで深夜の転倒リスクが高まることに注意が必要です。

高齢者に対しては、筋弛緩作用などの副作用がより少ない超短時間型の非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の使用を検討しましょう。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬

不安や強迫、恐怖などの神経症状に対する抗不安薬として、しばしば使用される代表的な薬です。

扁桃核や海馬に抑制作用を示し、不安や緊張などの症状を抑制します。

高齢者では、便秘、尿閉、緑内障の悪化、認知機能障害、せん妄などを引き起こす恐れがあります。

また、筋弛緩作用による転倒や日中の覚醒度の低下などの危険もあります。

エチゾラムやジアゼパムのような筋弛緩作用が比較的強い長時間型の薬については、特に慎重な投与が求められます。

薬のポイント

(『ナース専科マガジン』2014年12月号から改変利用)

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