【連載】ケアを阻む高齢者の「困った」

第7回 睡眠障害を把握したら最初にするべき3つのこと

解説 田中 秀樹

広島国際大学 心理科学部 教授

高齢者の睡眠障害のケアのヒントについて解説します。


1 睡眠障害のタイプを知る

高齢者の睡眠障害をケアするには、まず睡眠障害のタイプを知ることが大切です。

睡眠障害には以下の4つのタイプに分類することができます。

睡眠障害の分類

このうち、いずれかひとつでも当てはまれば睡眠障害ということになります。

ここで気をつけたいのは、特に高齢者の場合、これら4つのうち1つが単独で生じるということは少なく、複数の睡眠障害の症状を併せもつケースが多いということです。

どのような症状があるかを十分把握し、その中でも特に何が問題となっているかを見極めることが大切です。

続いては、「生活習慣チェックシート」を用いて、患者さんの生活習慣をチェックします。

2 認知行動的介入を行う

睡眠障害の改善のためには、睡眠に関する正しい知識を教育指導すると同時に、実際に睡眠に有効な生活習慣を獲得・維持してもらうことが重要です。

睡眠はあるメカニズムに基づく生理現象です。

睡眠に問題を抱えている人は、このメカニズムがうまく働かなくなっているわけですから、睡眠のメカニズムが起こりやすい状態をつくることで、質の良い眠りを得ることが可能となります。

これまで高齢者の睡眠障害には睡眠薬を用いることが一般的とされてきましたが、睡眠障害の認知行動的介入は、薬物と同等かそれ以上の効果があり、安全で副作用がなく、効果が持続することから、近年、特に高齢者の睡眠のケアとして注目されつつあります。

特に不規則な睡眠・覚醒パターンを示す認知症患者さんには、日中の覚醒維持のための非薬物アプローチが重要です。

睡眠障害の改善を図る認知行動的介入では、まず睡眠障害の状況をアセスメントし、患者さんと共に生活習慣改善のための目標を共有し、その目標をもとに生活指導を行います。

そこで特にポイントとなるのが、「13~15時頃の間の30分程度の短い昼寝」と「17時頃の軽い運動」です。

これが日中の適正な覚醒の確保につながり、夜間の睡眠の質を高めます。

3 生活習慣をチェックする

睡眠障害には複数の症状、複数の原因が混在している可能性があります。

高齢者の睡眠障害改善のためには、まず第一に正確に生活習慣の把握をすることが大切です。

「生活習慣チェックシート」を用いて、患者さんの生活習慣をチェックします。

  1. すでにできていることには○
  2. 頑張ればできそうなことには△
  3. できそうにないものには×

をつけ、同時に睡眠の満足度も記入してもらいます。

この中から目標を設定していきます。

生活習慣チェックシート

生活習慣チェックシート

(『ナース専科マガジン』2014年12月号から改変利用)

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