【連載】ケアを阻む高齢者の「困った」

第8回 光をコントロールして睡眠障害を改善

解説 田中 秀樹

広島国際大学 心理科学部 教授

高齢者の睡眠障害の改善のための、光の活用について解説します。


光の働き

光には、交感神経の働きを活発にしたり、血圧や体温を上昇させて、身体を目覚めさせる働きがあります。

また、明るい光にはメラトニンという眠りを誘発するホルモンの分泌を抑制する働きもあります。

高齢者ではメラトニンの分泌が低下しますが、午後10~12時、午後2~4時の計4時間、4週間程度2500ルクスの光照射を行うことで、メラトニン分泌が若年者の水準まで上昇し、睡眠障害を改善することが可能です。

身体を動かせない患者さんの場合も、日中の光を取り込めるような窓際1mくらいのところでベッドアップするなどして、光が当たるようにして過ごしてもらうこととよいでしょう。

さらに効果的な方法としては、「朝の太陽の光が射す明るい場所で、しっかり噛んで食事をとること」です。

朝の太陽の光や食事は、約25時間で働いている私たちの体内時計を24時間のリズムに調整し、同時にさまざまなサーカデイアンリズムの同調を強化します。

太陽の光で、脳の生体時計を、食事で腹時計をセットすることで、体内のその他の生体時計も同調しやすくなります。

いつでも光を浴びていいわけではない

光は、浴びるタイミングで効果が異なります。

光の浴び方を誤ると睡眠障害を悪化させてしまう場合があるので、注意が必要です。

日中の光はリズムのメリハリ強化や覚醒維持に有効ですが、早朝の光は睡眠相(就寝や起床のリズム)を前進させ、夕方の光は睡眠相を後退させます。

そのため極端に早寝早起きの患者さんに、早朝の光を浴びさせると、必要以上に睡眠相を前進させてしまうことになるので、早朝の光を浴びさせてはいけません。

そのようなときは、寝室に遮光カーテンをかけるなどの工夫が効果的です。

反対に遅寝遅起きの患者さんには、朝の太陽を活用するため、カーテンを少しだけ開けておくという方法もあります。

イメージイラスト

(『ナース専科マガジン』2014年12月号から改変利用)

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