【連載】急変対応マニュアル

出血性ショックとは? 症状と看護のポイント

解説 木下 佳子

NTT東日本関東病院副看護部長 急性・重症患者看護専門看護師

出血性ショックについて解説します。


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循環血液量減少性ショック

出血性ショック
体液喪失

 心臓は、そのポンプ機能により、血液を体内に循環させ、いろいろな臓器に酸素を送っています。この血液が少なくなると循環血液量減少性ショックを引き起こします。また、下痢や嘔吐、熱中症などによる脱水、熱傷などで、細胞外液や体液全体が喪失することで起こるケースもあります。ここでは出血性ショックについて説明します。

出血性ショックとは?出血性ショックの病態

 文字通り、外傷や血管疾患、消化管出血、手術などの出血により、循環する血液が減少することで起こります。血液量の減少により各臓器に十分な酸素を運搬できなくなり、最終的には多臓器不全に至ります。特に脳や腎臓は多くの酸素を必要とするので、脳梗塞や腎不全を来す場合もあります。

出血性ショックの仕組み図 出血性ショックの仕組み


 出血性ショックを理解するためにポイントとなるのは血圧です。

 血圧が低下すると、体では代償機能が働きます。血圧は、心臓のポンプ機能と心拍出量、末梢血管抵抗(抵抗を高くして血圧を上げる)で規定されます。ですから、例えば1回の心拍出量が1/2に減少した場合、これまでと同じ心拍出量を保とうとすると脈拍を倍にしなければなりません(下図参照)。すなわち頻脈になるということです。

 さらに、末梢血管を収縮させることで抵抗を増やし、血圧を維持するため末梢は冷たくなります。この代償機能により、私たちの体は少しぐらいの出血では血圧は下がらないようになっています。

 例えば、体重50kgの人が出血した場合、循環血液量の15%ぐらいの出血では、血圧や脈、呼吸数はほとんど変わりません。しかし、これが40%以上となると、血圧は大きく下がり、頻脈になり、呼吸は速く、意識は朦朧して、尿が出なくなります。

 日常的に患者さんをアセスメントしている看護師としては、血圧が下がる前、脈が速くなった時点で、「急変かな?」、「出血かな?」と出血に気付きたいものです。血圧が下がった時点では、すでに相当量の出血があると考えてください。

出血性ショックの仕組み2

出血性ショックの観察と対応

 出血が疑われたら、ショックの徴候がないかを観察します。

 血圧低下がなくても、頻脈のときは、すでに出血性ショックの初期症状の可能性があるので、注意してください。万一出血性ショックの場合は、気道確保、酸素投与・換気、静脈路確保、輸液投与などの緊急処置を行います。

 静脈路確保を行う際は、輸血が必要になることを想定して、なるべく太い静脈ルートを確保します。また大量の輸液と輸血により体温が低下するので保温します。

 そしてどこから出血しているかを見極めます。

 術後の患者さんであれば手術による出血が、内科病棟の患者さんであれば下血などが考えられます。止血のため手術が必要とされた場合、看護師は直ちに手術の手配・準備を行わなければなりません。

 この場合、患者さんや家族の了解を取ることが必須となるので、家族に対する緊急連絡は、誰がどのような方法で行うか決めておくことも大切なことです。

(『ナース専科マガジン』2012年6月号より転載)

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