【連載】急変対応マニュアル

【急変事例】CT造影検査をしたら呼吸困難感を訴えた

解説 木下 佳子

NTT東日本関東病院副看護部長 急性・重症患者看護専門看護師

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急変時の対応


造影検査後に呼吸困難感を訴えたケースを「急変対応の思考過程」に沿って、考えてみましょう。「急変対応の思考過程」の1「おかしさに気づく」は満たすものとして、2以降の流れで考えていきます。


事例 CT造影検査をしたら呼吸困難感を訴えた

 脳腫瘍の疑いのあるAさん(65歳・女性)は、診断を確定するために、造影CT検査を行いました。

 検査前には特に変わった様子はありませんでしたが、検査が終了し、CT装置から出てきたときには、赤い顔をして、息が苦しいと訴えました。

2 なぜおかしいと感じるのか?

 Aさんは、赤い顔をして、息が苦しいと訴えていました。

 赤い顔は、検査前と比較して、あるいは普段の状態と比較して顔色が変化していることを示し、息苦しさという表現から呼吸状態になんらかの異変が生じていると考えられます。

3 何が起こったのか? どんな可能性があるか?

 以下のような事が起こっている可能性があります。

1.造影CT検査をしていることから、造影剤によるアナフィラキシーショックを起こした
2.脳腫瘍の増大により、呼吸中枢が圧迫された
3.CT装置という閉所への恐怖から過呼吸を起こした
4.感染症により発熱している

4 同定するために足りない情報は何か?

(1)まずは可能性を精査する(否定できる可能性はないか)
 脳腫瘍の増大により検査時間内という短時間に急激に容態が変化するとは考えにくく、もしそうであったとしたら、CTの画像データからわかると思われます。

 すでに検査を終了し、AさんはCT装置から出ているため、閉所による恐怖感ならば次第に落ち着いていくと考えられます。バイタルサインをチェックし、発熱がなければ感染症は否定できます。

(2)アナフィラキシーショックの可能性を同定する
 赤い顔や息苦しさのほかに、掻痒感や嘔気などの自覚症状はないか、アレルギーの既応の有無はどうかなどの情報が必要になります。また、どの程度のショックなのかが不明なので、バイタルサインの測定と気道閉塞の有無の確認が必要になります。

5 アナフィラキシーショックだとしたら、何をするか

 アナフィラキシーショックの対応に準拠して行われます。

 本来はショックの原因物質と考えられる造影剤の投与を直ちに中止しなければなりませんが、この事例ではすでに投与が終了しているので、バイタルサインの測定、意識状態の観察、モニタリングなどとともに、輸液投与、酸素投与、薬剤(抗ヒスタミン薬、エピネフリン、ステロイドなど)投与などの治療・対応が行われます。

6 そのために看護師ができることは何か?

 まずは気道を確保して、人を呼び、医師へ連絡します。そして、バイタルサインを測定し、意識状態を確認しながら、モニタリングを行います。

 輸液投与のために、静脈路を確保し、輸液の準備をします。酸素投与を行う場合もあるので酸素の準備と、挿管する場合も考え、その準備もしておきます。

 さらに抗ヒスタミン薬やエピネフリン、ステロイドなどの薬剤の準備をします。また、治療する場所を検討します。Aさんが外来の患者さんであったなら、入院か、あるいはICUで治療するのか検討する必要があります。さらに、家族へ連絡します。


(『ナース専科マガジン』2012年6月号より改変利用)

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