【連載】急変の判断と対応

激しい頭痛を訴える患者さんへの問診・看護

執筆 小原 秀樹

聖マリアンナ医科大学病院 救急救命センター・熱傷センター 主任 救急看護認定看護師


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急変時の対応


緊急度・重症度の判断

 私たちが注目しなければならないのが二次性頭痛です。二次性頭痛の中には生命にかかわる、あるいは重大な後遺症を残し得る重篤な病態もふくまれているため、院内初期対応では、危険な頭痛を察知し、早急な治療に結び付けることが非常に大切です。
そのためには問診・観察が非常に重要になります。

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 以下に、頭痛を訴える患者さんの重症度・緊急度を判断する上での問診のポイントを解説します。

問診のポイント

1 発症様式とその経過を確認する

 1.いつから、どのように痛みが始まりましたか?
 2.何か前兆はありましたか?

2 部位・程度を確認する

 1.どのあたりが強く痛みますか?
 2.痛みの部位はどの範囲ですか?
 3.痛みの場所は移動していますか?
 4.10を最大の痛みとすると今はどの程度ですか?
 5.今までに同様の痛みを経験したことがありますか?

 特に、頻度および持続時間(群発頭痛は45~60分おき、1日に数回発生。緊張型頭痛はさらに長く持続)を確かめます。

3 性状・持続性を確認する

 1.痛みは持続的ですか?それとも軽減することがありますか?
 2.痛みは血管痛(拍動性)のような痛みですか?
 3.痛みはどのくらいの間(期間・時間)持続していますか?

 拍動性の痛みは偏頭痛の場合が多く、「突然の激しい痛み」「ハンマーで殴られたような痛み」「今まで経験したことのない痛み」などは、くも膜下出血を疑います。また、「○○していて」「△△をした瞬間に」など発症したときのことを詳細に記憶している場合も注意が必要です。

4 随伴症状の有無を確認する

 1. 吐き気や嘔吐はありますか?
 2. 頸部、肩の痛みはありますか?
 3. 視野に異常はありませんか?
 4. 片側だけ涙や鼻水が出ていませんか?
 5. 意識が遠のく、思考が低下することはありませんか?
 6. 手に力は入らなかったり、立つことができなかったりしませんか?

 頸部の痛みを伴い持続的な頭痛を訴える場合は、髄膜炎や脳炎などの感染症の危険性があります。このとき発熱を伴うことが多いのも特徴です。筋緊張が伴う場合では、緑内障、心因性、帯状疱疹を伴うことがあります。

5 既往歴、服薬歴を確認する

 機能性頭痛の既往や薬剤の内服歴があるかないか、また高血圧症などがある場合は、これまでにも同様の症状がなかったかも聴取します。消炎鎮痛薬や降圧薬などの内服状況も考慮しますが、これまで体験をしたことのないような突然の頭の痛みがあるときは、緊急性の高い病態を考慮します。

6 身体所見を確認する

●バイタルサインの確認

 過度の血圧上昇、頭蓋内圧亢進所見、発熱の有無を確認します。
 
●神経学的な評価

 意識レベル、運動麻痺、知覚異常からみていきます。

●眼症状

 眼瞼下垂、結膜充血、角膜混濁の有無、緑内障では眼球充血、散瞳がないかを確認します。

●頸部硬直

 疼痛と屈曲時の硬直、筋緊張状態の有無をみます。

【バイタルサインも判断の手助けに】

 頭痛の患者さんが示すサインはさまざまです。その訴えが生命予後に直結するかどうかを判断するのは、経験を積んだ看護師であっても大変難しく、意思の疎通が困難な患者さんが対象となるとなおさらです。そんな中、バイタルサインは、頭痛を訴える患者さんの大半で目立った変化はみられないものの、くも膜下出血をはじめとする生命に危険が及び得る疾患の手がかりになることがあります。また、普段のバイタルサインがわかっていれば、比較してみていくことも重要です。

 危険な訴え、バイタルサインの異常など見逃してはいけないサインをキャッチしたら、医師に報告し、経時的に観察しましょう。

どう対応する?

1 安静が保持できる環境と体位の確保を行う

 人ごみや騒がしいところでは、頭痛の評価は正しく行えず、また、頭痛が増悪する恐れがあります。
安全な体位を確保し、頭痛による意識障害のために起こる転倒など、何らかの事故に巻き込まれたり危険性があるため注意します。

2 生命の危機を回避する

意識の観察

 一般的に頭痛のみでは生命の危機があるとはいえませんが、今までに経験をしたことがないほどの頭痛では、発症後に意識障害や痙攣を起こす場合があります。このような場合には、嘔吐による気道閉塞や誤嚥を予防するために、側臥位をとるとよいでしょう。

呼吸の観察

 くも膜下出血などの急性発症を伴うと、失調性呼吸や呼吸停止を招くこともあります。その場合には十分な気道確保ができるような準備が必要です。

循環の評価

 血圧計などがない場合、撓骨動脈や腕頭動脈を触知し、血圧と脈が正常であるかどうかを確認することが大切です。高血圧症を疑う場合は、ファーラー位にして安静を保つようにしましょう。

頭痛の対応説明図図 頭痛の対応

【脳卒中は「FAST」で早期発見!】

 脳梗塞や脳出血などの脳卒中は、発症してから治療を受けるまでの時間が短いほど、後遺症が軽くなる可能性があります。そのため、発症した場合はできるだけ、早く専門医のいる医療機関で治療を受けることが重要です。

 その早期発見に役立つのが「FAST(ファスト)」です。

 脳卒中の代表的な3つの症状、

 1. 顔面の麻痺(F:Face)
 2. 腕の麻痺(A:Arm)
 3. 言葉の障害(S:Speach)

 を表しています。

 そのうちひとつでも、症状が出現していたら、脳卒中が強く示唆されます。発症時間(T:Time)を確認して、すぐに専門医の診察ができるように調整しましょう。

(『ナース専科マガジン』2015年1月号から改変利用)

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