【連載】急変の判断と対応

【血圧異常】異常に高い血圧への対応 7ステップ

執筆 持田 麻矢

聖マリアンナ医科大学病院 救命救急センター 熱傷センター 主任 集中ケア認定看護師

異常に高い血圧への対応について解説します。


▼バイタルサインについて、まとめて読むならコチラ
バイタルサインとは|目的と測定の仕方、基準値について


ステップ1 緊急度・重症度を判断する

第一印象から判断する

 患者さんに、意識障害、冷汗、顔面蒼白、呼吸困難などのショック徴候や痙攣などを認める場合には、緊急度・重症度ともに高い状態にあることがわかります。

 詳細なバイタルサインを測定する以前に、患者さんに触れて五感を用いて観察し、ショック状態であるか判断していく必要があります。

随伴症状を確認する

 随伴症状を伴う場合には、緊急度・重症度が高いものとして対応していく必要があります。随伴症状は原因疾患によって異なります。

【原因疾患別の随伴症状】

 1. 脳血管疾患・・・意識障害、痙攣、頭痛、嘔気・嘔吐、めまい、瞳孔不同、司直障害、麻痺、知覚障害、構音障害
 2. 心血管疾患・・・意識障害、胸痛、呼吸困難、冷汗、嘔気・嘔吐、頸静脈怒張、動悸、心雑音、腹痛、背部痛、腰痛、腹部大動脈拍動、四肢動脈拍動の異常、浮腫
 3. 婦人科疾患・・・意識障害、頭痛、痙攣
 4. 内分泌疾患・・・頭痛、頻脈、動悸、発汗、体重減少

ステップ2 意識状態の確認、呼吸・循環の管理を行う

 緊急時の対応としては、まずは意識を確認します。


 意識があることが確認できたら、次に気道確保・呼吸・循環(ABC)を確認していきます。意識がなく、脈拍触知ができない場合には、すぐに心肺蘇生法を開始する必要があります。応援と救急カートを要請しましょう。

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ステップ3 安静姿勢をとる

 意識、気道確保・呼吸・循環(ABC)を確認できたら、患者さんの安楽な姿勢を確保します。収縮期血圧は体位による影響を受けやすいため、仰臥位をとります。ただし、急性左心不全が疑われる症状を認めている場合には、仰臥位にすることで下肢からの静脈還流量が増加し、心不全が増悪する危険性があるため、ファーラー位をとります。

ステップ4 バイタルサインを測定する

 1. 血圧(臥床した状態での測定、左右差の有無)
 2. 脈拍(除脈、頻脈、不整脈の有無)
 3. 呼吸(回数、パターン、異常呼吸音の有無)
 4. 体温

 を測定します。

 またいつから変化が生じていたのかも合わせて患者さんに確認する必要があります。このような状況においては、継続的にバイタルサインを測定していく必要があり、モニターを装着することを検討します。

ステップ5 病歴を確認する

 高血圧の既往や程度、持続時間、治療歴や内服薬などを確認します。高血圧だけでなく、二次性高血圧を示唆する既往歴や内服薬の有無などもカルテから確認する、あるいは患者さんに聴取します。

 また病歴聴取とともに、随伴症状についても詳細に観察し、高血圧を引き起こしている原因を検索していきます。

ステップ6 静脈路確保と降圧剤投与を行う

 高血圧緊急症では直ちに降圧する必要があります。この場合には、降圧剤の静脈注射が必要になるので、静脈路の確保を行います。

 降圧では、急激、過度に降圧を行うと重要臓器の虚血を来たしてしまう危険性があります。そのため、病態や疾患に応じ最適な血圧コントロールを行う必要があります。

 下表に各疾患における治療方針について示します。
各疾患における治療方針
(表 各疾患における治療方針)

 降圧治療中は薬剤の効果をみるために、血圧を経時的に測定して、適切に血圧がコントロールできているかを確認していきます。

ステップ7 検査・手術を行う

 高血圧を生じている原因を検索するため、また疾患の変化を確認するために各検査を行います。エックス線やCTスキャンなどが行われるため、準備を整えていきます。

 移動を伴う検査では、移動中に患者さんの全身状態が変化することがあります。移動用のモニターの使用や救急要因を備えたバッグなどの携帯を検討することが必要です。

 高血圧緊急症により疾患の増悪を認めた場合には、疾患によっては手術が必要になることもあります。そのため緊急手術の準備も検討が必要になります。

(『ナース専科マガジン』2015年1月号から改変利用)

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