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【連載】苦手克服応援企画【心電図】

不整脈の看護|検査・治療・看護のポイント

解説 曽原 寛

葉山ハートセンター 不整脈センター部長

監修 曽原 寛

葉山ハートセンター 不整脈センター部長

Shindenzu1 min  1

【目次】


不整脈とは

通常安静時心拍数は、成人でおよそ1分間約60~100回の規則的なリズムで拍動しています。
何らかの原因により拍動が異常になる病態を不整脈といいます。

すべての不整脈に治療を必要とするわけではなく、健康な人の期外収縮(脈が飛んだり、ドキッとする)などは治療の必要はありません。

治療が必要な不整脈には、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 著しく脈が速くなる(頻脈)⇒頻脈性不整脈
  • 脈が遅くなる(徐脈)⇒徐脈性不整脈

頻脈と徐脈の定義は心拍数で判断し、徐脈は60回未満/分、頻脈は100回以上/分です(表1)。
頻脈や徐脈の発作の範囲になくても、患者さん本人が大変苦しそうにしているなどの、症状の程度で治療の必要性を判断します。

表1 頻脈と徐脈の目安

治療が必要な不整脈

頻脈性不整脈

治療が必要な頻脈性不整脈には以下の5つがあります。

  1. 心室細動
  2. 心室頻拍
  3. 発作性上室頻拍
  4. 心房細動
  5. 心房粗動

表 治療が必要な頻脈性不整脈

なかでも放置すると短時間で死亡する危険性のある、重症度の高い心室細動や心室頻拍では、ただちに治療を開始しなければなりません。

1. 心室細動

心室で発生した異常な興奮で、非常に速くて不規則な拍動によって心臓が小刻みに震え、心臓から血液を送り出すことができない心停止状態です。そのため数分で循環や呼吸が停止し、死に至ることもあり、発症した場合はただちに心臓マッサージや電気的除細動器で救命処置を行います。

2. 心室頻拍

心室で発生した異常な興奮により、拍動が非常に速くなった状態です。心室だけが拍動しているために血液循環が保てずに、動悸、息切れ、血圧の著しい低下やめまい、失神を起こし、死に至る危険性のある不整脈です。

治療はメキシチール(R)などの薬物療法を主とし、根治治療に高周波カテーテルアブレーションや植込み型除細動器(ICD)を選択します。また、QT延長症候群(詳細は第5回を参照)、心筋梗塞、心筋症、ブルガダ症候群(詳細は第5回を参照)などの基礎心疾患をもつ人は、心室頻拍から心室細動へ移行する可能性が高いので、即刻専門医の診察を依頼します。同様に、心室頻拍が頻回に発生した場合は、心筋虚血や心不全の発症が考えられ、即刻専門医を受診する必要があります。

3. 発作性上室頻拍

心拍数が160を超え、動悸が突然起こって突然終わり、重症の場合はめまいや意識消失をきたします。その多くが房室結節リエントリ頻拍と房室リエントリ頻拍で占められ、特に後者はWPW症候群(詳細は第5回を参照)の合併がみられ、治療の急を要します。内服薬ベラパミル塩酸塩(ワソラン(R))がすべての発作性上室頻拍に効果があります。1回/月でも発作がある場合は、カテーテルアブレーションでの根治治療を検討します。

4. 心房細動 5. 心房粗動

致死的な不整脈ではないけれど注意が必要なのは心房粗動、心房細動で、心房が1分間に250から350回程度で規則正しく拍動する状態を心房粗動、不規則な頻脈が現れる状態を心房細動といいます。

特に心房細動は心不全の誘発因子であり、脳梗塞などの血栓塞栓症を招くこともあり、薬物治療を行わなければなりません。心房粗動では、発作予防に抗不整脈薬治療や、根治治療としてカテーテルアブレーションを行います。

また、心室期外収縮と心房期外収縮は健常人にも現れますが、それぞれ1万回/日以上の発作を目安に治療を行います。
心室期外収縮は、頻発すると心室頻拍や心室細動に至る危険があるため、カテーテルアブレーションを検討します。心房期外収縮も、心房細動を引き起こし、血栓塞栓症の原因にもなります。頻回に起きる場合は、抗不整脈薬治療などを行います。

徐脈性不整脈

正常な心臓は、右心房の洞結節で発生した刺激が心臓のリズミカルな収縮を促します。徐脈性不整脈で治療を要するのは、その刺激が全く起こらない状態の洞不全症候群と、刺激が途中で途切れてしまう状態のIII度房室ブロックです(表)。

洞不全症候群では眼前暗黒感などのアダムス・ストークス発作や著しい全身倦怠感、息切れなど心不全の前駆症状がみられ、III度房室ブロックでも失神するなどのアダムス・ストークス発作や動悸が起こります。

治療は、いずれも重症度が高い場合はペースメーカー植込み術の適応となります。

表 治療が必要な徐脈性不整脈

図 不整脈による血行動態の悪化で現れる症状

不整脈で看護師が気をつけたい4つのこと

  1. 患者さんを常に観察し、正常の状態と異常な状態を見分けられるようにする
  2. 頻脈発作は気づく前に自然停止することが多い。継続する場合、危険な状態なので、見逃さないようにする
  3. 患者さんの様子がいつもと明らかに違うときは心電図をつけるようにする
  4. 不整脈の徴候を発見したら、医師に連絡する

【知っておきたい!アルコールの不整脈への影響】

心筋が興奮すると、新たに外からの刺激が加わってもその刺激に反応せず、再度興奮しない期間があります。

この期間を「不応期」といいます。

アルコールには、不応期を短くする作用があるため、興奮から興奮までの間隔が短くなり、頻脈発作が発生しやすくなります。

またアルコールには、交感神経を活性化させる作用もあるので、脈拍が速くなります。

以上の理由から、過度の飲酒は不整脈を誘発するとされているので、根治治療を望む場合は、断酒が不可欠となり、治療中の患者さんにはアルコールを摂取しないように指導する必要があります。

緊急度の低い不整脈(注意すべき2点)

1 血栓塞栓症を引き起こす発作性心房細動に要注意!

本来、発作性心房細動が起こっても、自発的に正常な脈に戻る力を持っています。
しかし、放置すると経年的変化で持続性へと移行し、以下のようなリスクが発生してしまいます。

(1)心房が不規則に激しく興奮している状態で、心房の収縮性が低下して心不全を誘発し増悪させる
(2)血流が滞るために血栓が生じやすくなり、血栓塞栓症を引き起こす。塞栓する部位によって脳梗塞、冠動脈塞栓(心筋梗塞)、四肢塞栓、腎梗塞などになる(下図)。


梗塞部位ごとの症状

■脳梗塞

脳内での梗塞部位によりますが、頭痛のほかに意識障害や片麻痺を伴います。

■心筋梗塞

突然前胸部に激痛が生じ、その痛みが30分以上持続するという症状が特徴として現れます。

■四肢塞栓

四肢の激痛やチアノーゼがみられます。四肢の脈を確認しても塞栓した側では触れず、血圧の左右差が出ます。

■腎塞栓

急激な腰痛などが起こります。例えば不整脈がある寝たきりの高齢者の患者さんでは、椎間板ヘルニアによる痛みとは考えにくいので、腎梗塞を疑います。また、痛みのほかに乏尿も随伴症状として出現します。

特に心原性脳梗塞は、動脈硬化によるものとは異なり、若年層でも発生します。梗塞範囲が広いため、予後が不良であることが多いので、その兆候を見逃さないように気をつけます。

発作性心房細動の薬物療法

発作性心房細動の治療は薬物療法で、発作性・持続性ともに原則として抗凝固療法のワーファリンに併用して抗不整脈薬の多種類投与を徹底して行います。症状が治まったら一つの目標に到達できたと考えることができます。

ところがいったん治まっても1から2年経過すると薬剤が効かなくなり、5割の患者さんに再発が見られます。特に、飲酒などの生活習慣的な危険因子をもつ患者さんに発生率が高まります。そこで抗凝固療法のワーファリンと併用している抗不整脈薬の量を増やしたり、種類の変更を行います。

薬物療法を行っても1年以上、常に心房細動の発作がある長期持続性心房細動では、薬物療法のほかに、カテーテル治療の併用が効果的と考えられています。

知っておきたい抗凝固療法中の患者さんへの抜歯時の対応

心房細動の患者さんに処方される抗凝固薬のワーファリンは、服用してから体内で消失するまでの時間が長いため、休薬に3から5日かかります。そのため、抜歯などする際は、その服用に関して十分検討する必要があります。

ワーファリンの服用を中止して抜歯した場合の梗塞性合併症の発症率は約1%で、かつ一度発症すると重篤で死亡に至ることが多いという調査結果がアメリカで出ています。現在ワーファリンを服用している患者さんは100万人以上と多いため、軽視できない数値です。
日本循環器学会では、抜歯、体表の小手術と全身麻酔下で行う大手術に対して「循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン」を出しています。それによると、「抜歯はワーファリンの内服を継続した状態で行うことが望ましい」としています。また、日本有病者歯科医療学会でも、ガイドラインの作成が進められています。

抗凝固療法中で外来に通院している患者さんには、抜歯を考えている場合には医療者に一言相談してもらうように伝えましょう。

2 心疾患をもつ患者さんの不整脈に要注意!

心筋梗塞・心筋症・僧帽弁狭窄症などの患者さんに不整脈が出現した場合、注意が必要です。

■心筋梗塞の場合

例えば心筋梗塞で入院中の患者さんは心室頻拍が1回でも発生すれば致死性になることがある。また、心筋梗塞の術後に再梗塞が発生して不整脈を起こしたとき、心臓壊死部分から心臓破裂の恐れもあります。

■心筋症の場合

ポンプ機能が低下するため、拡張型、肥大型ともに心室頻拍や心室細動が発生しやすく、死に至ることがあります。

■僧帽弁狭窄症の場合

心房細動を発症すると、多くに脳梗塞による重篤な合併症が起こるとされています。発症をみつけたら、早めに循環器専門医を受診するよう勧めます。

いずれの心疾患の場合も、喀痰の吸引や体位交換の刺激などで発作が起こることもあります。そのため、ケア時には不必要な刺激を与え過ぎないように注意します。さらに、それぞれの心疾患から考えられる合併症や移行しやすい不整脈の兆候や症状を把握し、観察を怠らないようにすることが大切です。

また、心疾患以外に、血液の電解質異常が心拍の異常を引き起こすこともあります(下図)。
糖尿病で透析を継続していた患者さんが、諸事情により透析できないときに、血中のカリウム濃度が高くなります。それにより心室性頻拍や心室細動を誘発する場合があるので、十分な注意が必要です。

不整脈の検査

検査1 心電図

心電図では、洞結節で発生した電気的刺激が心筋の各部分に伝わり、心臓が収縮運動を繰り返す様子を波形として観察できます。
モニター心電図、12誘導心電図、ホルター心電図などの種類があります。

なかでもモニタ心電図は心疾患以外でも全身状態が不安定な場合は装着するため、不整脈の発生や増悪の早期発見に便利です。
波形の山や谷は心臓のどの部分の動きを示すのか、各波の間隔の正常値など、モニタ心電図を読み取れることが大切です。波形の異常を確認できれば、緊急対応か、経過観察でもよいかを判断できます。そこで、波形の成り立ちは丸暗記してもよいくらいです。

得られる情報

  • 不整脈の有無

検査2 心臓電気生理学的監査(EPS)

心臓電気生理学的検査(Electrophysiological Study;EPS)は、心カテーテル検査のひとつです。

EPSでは、4つの心腔へ記録電極と刺激電極を入れ、ペーシングします。その反応から不整脈の種類、重症度とそれに応じた治療法の選択や有用性を判定できます。

また、洞不全症候群(SSS)や房室ブロックの重症度の判定を行います。同時に、カテーテルアブレーションの適応を判断して、適応の場合は焼灼部分を限定できます。

得られる情報

  • 不整脈の有無
  • 不整脈の重症度
  • 重症度に応じた治療法の選択・有用性
  • カテーテルアブレーションの焼灼部分

検査3 経食道心エコー法

経食道心エコー法は心エコー検査のひとつで、胃内視鏡検査と同様で背中側から心臓を診る検査方法です。心筋の肥大、僧帽弁の逸脱や弁膜症など、心機能が正常かを器質的に不整脈の誘発因子を有するか否かの判断に有効です。

血栓があるのに心房細動の治療をすると、塞栓症を誘発する危険性があります。カテーテルアブレーションの実施前には必ず、経食道心エコー法で左心房内の血栓の有無を検査します。

また、より侵襲性が低い造影CTも血栓の有無を確認できます。患者さんの状態に応じて検査方法を選択します。

得られる情報

  • 心臓の構造
  • 血流
  • 血栓の有無
  • カテーテルアブレーションの適応

不整脈の治療法

不整脈の治療には、患者さんの不整脈の状態に応じて、外科的治療から薬剤療法までさまざまな治療法があります。以前は治らないと考えられていた、心房細動を治療する方法も出てきています。

1 除細動

直流電流を心臓に与えて、不整脈を正常な洞調律リズムに戻す治療法です。

心室頻拍で血行が破綻し、血圧が低下してショック状態になっている場合や心室細動が起こったときに使用します。

2 ペースメーカー

ペースメーカーで人工的に規則正しい電気信号を作り、心臓のポンプ機能を整える治療法です。
ペースメーカーにはさまざまなタイプがあり、不整脈の状態によって選択します。いずれの場合も、異物を体内に入れるため、術後の管理は注意深く行います。 合併症として、感染、心不全、不整脈、心タンポナーゼなどがあるため、バイタルサインや心電図などを確実に観察して未然に防ぐようにします

普通のペースメーカー

徐脈性不整脈で完全房室ブロックや洞機能不全が適応となりますが、徐脈性心房細動で脈拍数が30くらいの場合にはバックアップとして入れることがあります。 このタイプのペースメーカーを入れた場合は、激しい運動などを行っても問題はありません

植込み型除細動器(ICD)

ICDは、心室頻拍や心室細動を感知して、自動的に除細動を行うペースメーカーです。

突然死を予防することを目的としています。

適応は以下のような場合です。

  1. 心室頻拍が繰り返し発生し、薬物治療の効果がない場合
  2. カテーテルアブレーションを行っても完全に抑え切れない場合
  3. 心室細動やその既往がある場合

心室細動での適応は、心臓電気生理的検査(EPS)の誘発テストで判断します。

誘発テストで心室細動を発症し、「家族歴があり、症状もある場合」「家族歴はないけれど、失神発作などの症状がある場合」は適応となります。

しかし、誘発テストで発症しても、「家族歴や自覚症状がなく、心電図ではQT延長症候群やブルガダ症候群と診断される場合」は患者さんとご家族との相談の上で決めます。

心臓再同期療法用ペースメーカー(CRT)

右心室・左心室を同時にペーシングし、収縮の同期性を回復させる方法です。

拡張型心筋症で薬物療法を行っても、頻繁に心不全になってしまう場合に適応となります。

両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)

CRTとICDの機能を併せてもつペースメーカーです。

  1. 重度の心不全
  2. 心室細動や心室頻拍を発症し、めまいや失神などの症状の既往がある場合
  3. EPSで心室細動が誘発された場合

に適応になります。

3 カテーテル治療

カテーテル治療は、不整脈の原因の心筋組織を焼灼する治療法です。

直流通電法と高周波通電法(高周波カテーテルアブレーション)の2種類があり、最近は、侵襲が穏やかな高周波通電法(高周波カテーテルアブレーション)が主流です。

高周波カテーテルアブレーションの対象は頻脈性不整脈(房室結節リエントリ頻拍、WPW症候群、心房粗動、心房頻拍、心室頻拍)で、根治治療として評価されています。しかし、房室ブロックや血栓症、心タンポナーゼなどの合併症のリスクもあるため、術前にEPSで適応を厳密に判断し、慎重なカテーテル操作に努めます。

術後はカテーテルを挿入するガイドであるシース抜去後の出血など、合併症発現の早期発見に努め、患者さんの精神的ケアも行います。最近では、心房細動の根治療法も行われています。

4 薬物治療

不整脈の薬物療法は、以下の3種類に分類できます。

  1. 不整脈を抑制する抗不整脈薬
  2. 不整脈を発生させない環境を整える薬剤
  3. 不整脈に関連して発生する疾患に対する薬剤

抗不整脈薬は作用機序によって分類され、ヴォーン・ウイリアムズ(Vaughan・Williams)分類(下表)やシシリアン・ガンビット(Sicilian・Gambit)分類などの分類法が、臨床現場では広く支持されています。


ヴォーン・ウィリアムズ分類

前者は、心筋に対する電気生理学的作用に基づき、チャネルや受容体への作用を4群に分類したものです。しかし、複数の作用機序をもつ薬剤の開発が盛んになり、分類が困難になったため、すべての作用機序を記載した後者の分類が出てきました。ただ、分類されていなく、理解が困難なため、ヴォーン・ウイリアムズ分類を覚えるだけでも十分です。

ただ、近年相次いで発表されたガイドラインでは、ヴォーン・ウイリアムズ分類に基づいて選択した抗不整脈薬を長期に使用していると、新たに不整脈が発生したり、再発する「催不整脈作用」によって予後を悪化させてしまうことから、シシリアン・ガンビット分類の「不整脈の発生機序」と「薬物の作用機序」に基づいて選択する考え方も出てきています。

男女別で発症に差がある不整脈

不整脈は、圧倒的に男性に多く、男女比は7:3とされています。

男女別で発症に差がある不整脈の種類には、以下の2つがあります。

  1. ブルガタ症候群
  2. QT時間延長症候群

1 ブルガタ症候群

ブルガタ症候群は、特異的な波形を伴う突発性の心室細動で、若年者の突然死の原因となります。

男性のほうが発生リスクが高いとされており(男女比は9:1)、男性ホルモンの影響と考えられています。

2 QT時間延長症候群

QT時間延長症候群には、先天性と後天性があります。

先天性の場合、発症する割合は、思春期以前では男女比はほぼ同じ。

しかし、思春期以降になると、女性の発症率が高くなります。

これは女性ホルモンが影響していると考えられています。

後天性の場合も、女性の発症が多くなります。(男女比3:7)

誘因は

  1. 低カリウム血症や低マグネシウム血症などの電解質異常
  2. 著名な徐脈
  3. 脳血管障害

といわれています。

薬剤性不整脈(催不整脈作用)

不整脈に治療には薬物が用いられることがあります。この抗不整脈薬には、長期使用により、不整脈を再発させる「催不整脈作用」や副作用が出ることがあります。 今回は、薬剤により新たに引き起こされた不整脈について、解説します

薬剤性不整脈とは?

薬剤により新たに引き起こされた不整脈のことをいいます。また、薬剤により、既存の不整脈が悪化することもあります。それらの作用を「催不整脈作用」といい、すべての抗不整脈薬が持ち合わせています。そのため、抗不整脈薬が処方されているときは、モニタリングが重要となります。

催不整脈作用とは?

抗不整脈薬は長期投与により、

  1. 催不整脈作用(不整脈を再発させる作用)
  2. 副作用

を招くことがあります。

例えば心室性不整脈は、抗不整脈薬の増量で治療効果は上がりますが、新たに合併症が増えます。

QT延長症候群やブルガダ症候群では、遺伝子レベルでの薬の感受性が高く、不整脈発生の危険性があるとされています。そこで不整脈の重症度が低く症状も軽い場合は、ほかに重篤な心疾患がなければ薬物治療をせずに生活習慣の改善指導に努める傾向です。

ケアの際に気をつけたいこと

看護においては、薬物治療中だからと安心せずに、投与薬の量や種類を把握し、モニタリングする必要があります。

しかも催不整脈作用は、量や種類を増やした直後ではなく、投薬後から1ヶ月までの間に発生することが多いといわれているので、その間は特に注意深く観察を行います。

また、抗不整脈薬だけでなく、向精神薬などの薬剤の服用がきっかけで、新たに不整脈が発生したり、もともとあった不整脈が悪化することがまれにあり、原因薬剤の使用を中止しなければなりません。

催不整脈作用が現れるときには、心電図上にQT時間延長がみられます。

定期的にチェックしてQT時間延長などの変化がみられた場合は、すぐに医師に報告をしましょう。

QT時間延長を生じることがある抗不整脈薬

  1. Ⅰa群:キニジン、ジソピラミド、プロカインアミド
  2. Ⅲ群:ソタロール、ドフェチリド、アミオダロン

(『ナース専科マガジン』2010年1月号から改変利用)