【連載】苦手克服応援企画【心電図】

心筋梗塞の心電図|4段階の波形の変化とは?

解説 曽原 寛

葉山ハートセンター 不整脈センター部長

監修 曽原 寛

葉山ハートセンター 不整脈センター部長

急性心筋梗塞時の経時的な波形の変化について解説します。


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不整脈の看護|検査・治療・看護のポイント


急性心筋梗塞時の経時的な波形の変化

 急性心筋梗塞の心電図では、以下のような経時的な波形の変化がみられます。

 特徴的なのは、心筋壊死を示すとされる異常Q波や冠性T波、STの変化です。また、12誘導の波形の異常から、梗塞した部位がわかります(下表)。ただし、梗塞のごく初期では、心電図はまだ正常を示すことがあります。また、心内膜下梗塞では異常Q波がみられないこともあります。

 なお、心筋梗塞狭心症など虚血性心疾患では、不整脈がみられやすく、場合によっては心室細動(VF)を起こすことがあり注意が必要です。

1段階目 発症直後~数時間

 1. T波増高
 2. ST上昇

急性心筋梗塞時の経時的な波形の変化(1段階目 発症直後~数時間)

2段階目 数時間~12時間後

 1. 異常Q波
 2. R波の高さの1/4以上の深さかつQ波の幅が1mm以上

急性心筋梗塞時の経時的な波形の変化(2段階目 数時間~12時間後)

3段階目 2日~1週間

 1. 異常Q波
 2. 冠性T波(T波陰性化)
 3. ST下降

急性心筋梗塞時の経時的な波形の変化(3段階目 2日~1週間)

4段階目 1週間~1ヶ月以降

 1. 異常Q波
 2. 冠性T波
 3. ST正常

急性心筋梗塞時の経時的な波形の変化(4段階目 1週間~1ヶ月以降)


【心電図クイズ】
①入院時、モニター心電図をつけるよう指示があったため、つけてみるとSTが上がっているように見えたため、医師に報告した。この行動はあっているか、間違っているか。もし間違っているなら、どこがいけないのか答えなさい。
>>解答・解説はこちら!

【梗塞部位と心電図変化の関連】

 12誘導の波形の異常から、梗塞した部位がわかります(下表)。

梗塞部位と心電図変化の関連
注)梗塞のごく初期では、正常を示すことがあります。また心内膜下梗塞では異常Q波がみられないこともあります。

急性心筋梗塞のカテーテル治療後でも注意

 急性心筋梗塞のカテーテル治療後、血流が再開しても、その後のリハビリなどで心室細動を起こした例があります。その場合、再梗塞や壊死心筋の破裂の可能性があります。特に心筋の破裂は、梗塞部位が小さいほど、正常な心筋範囲が大きいためにかえって壊死した心筋に負担がかかり、リスクが高まるようです。重症度の高くない心筋梗塞だからといって、軽視しないようにしましょう。

QSパターン:梗塞巣が広範囲

 外膜に達する梗塞が広範囲の場合、外膜に刺激が伝わることを表すR波がなくなり、QとSだけとなる異常Q波をQSパターンといいます。

QSパターン:梗塞巣が広範囲のもの

【練習問題はこちら】
<練習問題編⑥> ST変化を疑ったときはどう動く?

(『ナース専科マガジン』2010年1月号から改変利用)

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