1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. 循環器科
  5. 心電図
  6. 不整脈・心電図の異常
  7. 心電図でみる房室ブロック(AVブロック)の波形・特徴とは?

【連載】苦手克服応援企画【心電図】

心電図でみる房室ブロック(AVブロック)の波形・特徴とは?

  • 公開日: 2015/2/22

房室ブロック(AVブロック)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。


▼不整脈の看護について、まとめて読むならコチラ
不整脈の看護|検査・治療・看護のポイント

【関連記事】
心電図でみる洞不全症候群(SSS)の特徴
心電図でみる心房粗動(AF/AFL)の特徴


心電図でみる房室ブロック(AVブロック)の特徴

 房室ブロックは重症度によって5つに分けられます。波形を見ながら、違いを知っておきましょう。

I度

心電図でみる房室ブロック(AVブロック)の特徴(I度)
PQ間隔の延長

Ⅱ度ウェンケバッハ型

心電図でみる房室ブロック(AVブロック)の特徴(Ⅱ度ウェンケバッハ型)
PQ間隔が徐々に延長し、P波がQRS波につながらなくなるが元に戻り、PQ間隔も短くなる

モビッツⅡ型

心電図でみる房室ブロック(AVブロック)の特徴(モビッツⅡ型)
QRSが突然なくなる

高度房室ブロック

心電図でみる房室ブロック(AVブロック)の特徴(高度房室ブロック)
モビッツII型で2対1、3対1の房室伝導比となるもの

Ⅲ度房室ブロック(完全房室ブロック)

心電図でみる房室ブロック(AVブロック)の特徴(Ⅲ度房室ブロック(完全房室ブロック))
P波とQRS波がまったく無関係に現れている

房室ブロックの特徴についてまとめました。

どんな不整脈?

 心房から心室の電気的興奮の伝導が障害され、徐脈となります。迷走神経が原因で起こるとされています。迷走神経は夜間に活発になるため、夜間に発作を起こしやすいとされています。

 房室ブロックは、表1のように分類され、I度房室ブロック・Ⅱ度房室ブロック(ウェンケバッハ型)は健康な人にもみられますが、モビッツⅡ型、高度房室ブロック、Ⅲ度房室ブロックは心室細動に移行しやすく危険です。ただし、軽度の房室ブロックが重症化することもあり得ますので注意を要します。

 また、房室ブロックに完全右脚ブロックと左脚前枝ブロックの合併があると完全房室ブロックに移行しやすいとされています。

房室ブロックの分類表
表1 房室ブロックの分類表

迷走神経
 迷走神経は、脳から出ている末梢神経の一つで、運動神経と感覚神経を含み、大部分が内臓に分布し、胃腸蠕動運動などさまざまな働きをしますが、心拍数の調整にも関与しています。

どんな危険がある?

 1. モビッツⅡ型以上の房室ブロックは心室細動などの致死性不整脈に移行しやすい
 2. 高度房室ブロックは脳虚血を招きやすい
 3. 睡眠時に重症化しやすい

危険なサインは?

 1. 心電図でPQ間の異常(モビッツⅡ型、高度房室ブロック、Ⅲ度房室ブロック)
 2. 動悸、失神発作、脈拍不整

主な症状

 1. アダムス・ストークス発作
 2. 心不全症状
 3. 易疲労性

主な原因

 1. 迷走神経刺激
 2. 薬物(β遮断薬、ジギタリス、Ca拮抗薬
 3. 加齢
 4. 心筋梗塞・異型狭心症・心筋炎・先天性心疾患などの心疾患
 5. 高カリウム血症
 6. 心サルコイドーシス
 7. 甲状腺機能低下症など

主な治療

 1. 心臓電気生理学的検査(EPS)で重症度を判定する
 2. 1.5秒程度の停止は軽度とされる
 3. 失神発作の既往があれば、ペースメーカー植込み術適応となる
 4. 原則として3秒以上の停止があればペースメーカー植込み術適応となる

(『ナース専科マガジン』2010年1月号から改変利用)


【心電図クイズ】
①入院時、モニター心電図をつけるよう指示があったため、つけてみるとSTが上がっているように見えたため、医師に報告した。この行動はあっているか、間違っているか。もし間違っているなら、どこがいけないのか答えなさい。
≫解答・解説はこちら!

【関連記事】
【12誘導心電図】正しい手順、電極の貼り方、貼付部位の探し方
心電図で使う略語・用語を知っておこう

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

不整脈(心房粗動)のある患者さんへの看護計画|カテーテルアブレーションを実施する患者さん

心房粗動でカテーテルアブレーションを実施するために入院した患者さんに対する看護計画  心房粗動とは心房で持続する規則的な電気刺激によって生じる不整脈で、そのままの状態が続くと心機能の低下リスクや、血栓が生じる可能性があり脳梗塞の発症リスクが高くなります。そのため薬物療法とし

2024/3/30

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
4位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
5位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
6位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
7位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
8位

SIRS(全身性炎症反応症候群)とは?基準は?

*この記事は2016年7月4日に更新しました。 SIRS(全身性炎症反応症候群)について解説します。 SIRS(全身性炎症反応症候群)とは? SIRS(全身性炎症反応...

250839
9位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
10位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949