【連載】逝去時のケアを極める

逝去時のケア【創部ケア編】

執筆 野島 陽子

地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 皮膚・排泄ケア認定看護師

逝去時のケアの方法とポイントについて解説します。今回は【創部ケア】についてです。


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1.CV、胃瘻抜去部、気管切開孔、潰瘍、褥瘡など

 本来は患部の蛋白質を固定することが重要であり、ステリハイドやホルマリンなどで創部を洗浄し、密閉することが特に望ましいといわれています。

 しかし、これら薬品を使用する際は、徹底した完全防御が必要であり、準備や片づけに時間を費やすだけでなく、やはりご家族に特別な印象をもたらすことになります。

 そのため、当センターではアルコール系の薬剤を使用しています。アルコール系の消毒薬は蛋白質があると効果が著しく低下するため、洗浄剤と湯を使用して十分洗浄を行い、蛋白質汚れや滲出液などの体液を取り除いてから使用しています。

 また、凝固剤入りの綿を起用しているので、口腔・鼻・肛門等にお詰めし、残った分を創部に当てるもしくは充塡し、上からフィルム材で密閉しています。

2. ストーマケア

 解剖学的視点から考えると、腹壁に開口されたストーマは粘膜が露出した状態なので、粘液や排泄物の存在などから細菌が繁殖しやすい状況です。細菌の増殖は腐敗の原因になるため、閉鎖・縫合はできる場合のみ、もしくは可能なら実施したほうがよいといわれています。

 しかし、死亡から火葬までの時間が短くなっていることや、葬儀業者等による適切なクーリングの効果で、腐敗や腐敗に伴う排泄物の流出は見られなくなってきている現状もあります。

 逝去時ケアを行う時間帯として夜間の場合も多く、縫合を行う医師の問題や、DPC(診断群分類別包括制度)を導入している病院においては、閉鎖・縫合に伴う材料費、処置料等がすべて持ち出しとなるので、それらを考慮しても、閉鎖・縫合は必ず行うスタンダードなケアとしなくてもよいと考えます。

 また、何より亡くなられた後、ご家族から「もうこれ以上、身体を傷つけないでほしい」「はさみ、メスは使わないでほしい」という言葉がよく聞かれるのも事実です。

 さらには、「ストーマと一緒に生きてきたから、このバッグ(装具)も身体の一部。だからこれもつけてください」と話されるご家族も多いため、当センターではいつもの通り洗浄剤の泡とぬるま湯で洗浄し、ストーマの排泄孔をアルコール綿で拭き取り、新しいパウチを貼ってお帰りいただいています。

(『ナース専科マガジン』2015年2月号から改変利用)

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