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【連載】逝去時のケアを極める

エンゼルメイクで大切な3つの目的

解説 小林光恵

エンゼルメイク研究会 代表

Mitue

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エンゼルメイクで大切な3つの目的について解説します。


目的1 乾燥を防止する

顔のエンゼルメイクで最も大事なことは、不可逆的な変化である皮膚の乾燥を防ぐことです。

存命中は、絶えず飲食などによって内側から水分が補給、保湿されていますが、死後はそれらが一切なくなり、急激に乾燥します。

進行すると口唇は茶褐色になり、まぶたが開いていると眼球表面に外気が触れて乾燥し、変色することがあります。

また、鼻や耳朶、頬などの突出部は、風にあたりやすいために乾燥が進みやすいです。

いったん乾燥すれば決して元には戻らないので、臨終後は早めに保湿を行うことが大切です。

メイクにおける乾燥対策の一つとして、ファンデーションの選択があります。

乾燥予防には油分が重要になるので、油性成分を一番多く含有するクリームファンデーションがお勧めです。

リキッドタイプを使用する場合も、できるだけ油分が多いものを使いましょう。

逆に、オイルフリーのファンデーションは、水分が多く乾燥を助長するので注意が必要です。

水分の多いファンデーションを使用するほかないのであれば、下地としてクリームをたっぷりと塗り、その上からファンデーションを塗るとよいでしょう。

ご家族の中には、ファンデーションや口紅などのメイクを嫌がる人もいます。

そのときには、乾燥対策の必要性を説明して、乾燥予防のスキンケアとして実施の了解を得るようにします。

クレンジング・マッサージで汚れを除去した後、顔全体にクリームを塗り、オイルやワセリンで口唇を保護するといった対策を講じておけば、後でメイクを追加すること もできます。

目的2 血色を補い、顔色の変色をカバーする

死後変化の一つに、皮膚の蒼白化があります。

死後、血液循環が止まると重力の影響を受けて赤血球などが身体の下側へと沈みます。

そのため、仰臥位の状態では、身体の前面から血色が失われて蒼白になります。

中でも顔は白さが目立ってしまい、痛ましい印象を与えることがあります。

そこで、蒼白になった部分に赤みを足し、生前のように穏やかな印象をもたせます。

赤みを足す部分は、もともと赤みがあった部分です。

顔であれば額、まぶた、頬、顎、耳朶などで、このほか衣服で覆われない指先(爪)などに赤みを足すのもよいでしょう。

時間がとれない場合やメイクに抵抗があるときには、耳朶だけでも赤みを足すと印象が変わります。

赤みは、口紅や頬紅などそのときに用意できるものを使います。

赤みを足す理由をご家族に伝えておけば、退院後にご家族が爪にマニキュアを塗ったり、口紅や頬紅をさすこともできます。

次のページでは3つ目の目的について解説します。