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【連載】酸素の上げどき?下げどき?

SpO2 100%であれば、安心なのか?

執筆 和足孝之

Mahidol University, Faculty of Tropical Medicine.

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何でも100点を取ったほうがよいと教えられたのは、筆者の小学生の頃。100という数字に対する目に見えない喜びと安心感は感覚的に染み込んでいるモノですね。

病棟で「SpO2は100あるのですが・・・」などの発言が聞かれれば、注意が必要です!

まずは、SpO2100の意味するところを呼吸生理学的に簡単に見てみましょう。


SpO2100%であれば安心というわけではない

日本の青柳卓雄先生が開発したパルスオキシメーターは医学の歴史において画期的な大発明でした。

いわゆる経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)をリアルタイムで簡易に計測できるようになったのは、たかだか数十年の話のことです。

それまでは、体内の酸素化を呼吸数、爪や唇や皮膚の色(チアノーゼ)、採血時や手術中の血液の潜血色で判断していたのです。

とても便利なこのパルスオキシメーターで測定するSpO2には注意が必要です。

医師はその注意点も理解した上で酸素指示を出しています。

まずSpO2とPaO2とはどう違うのでしょうか?

これはレジデントの先生もよく混乱しているので、一度まとめておきましょう。

SpO2は経皮的動脈血酸素飽和度のことで指や耳たぶ、鼻でも測定できてしまいますが、PaO2は動脈血酸素分圧の意味で血液ガス検査を施行して初めてわかるものですね。

我々医師は呼吸不全の定義を下記のようにレジデントに教えています。

呼吸不全の定義

さらにこの呼吸不全を動脈血二酸化炭素分圧(PaO2)が45Torrを超えて異常な高値を呈するものをⅡ型呼吸不全、そうではないものをⅠ型呼吸不全とに分類しています(図1)。

図1 呼吸不全の分類

つまり、医師は定義上SpO2を呼吸不全の直接的な指標にはしていません。

ですが毎回動脈を穿刺するのも侵襲的ですから、経皮的にSpO2からPaO2が推測できればよいわけですね。

そこで有名な図2の下記のグラフを見てみましょう。

図2 酸素解離曲線

これは酸素解離曲線といい、動脈血酸素分圧(PaO2)と酸素飽和度(SpO2)との関係を示した曲線で、直線的な比例関係ではなくカーブを描くことがミソです。

覚えるべきポイントはズバリ、SpO290%はPaO2 60Torrに相当するということです。そのため、SpO290%は呼吸不全の定義に代用できるわけです。

また最近、看護師さんに質問されて認識したのですが、SpO2100%であればPaO2100Torr程度で安全であると勘違いしている方が非常に多いと思います。

図2をみればSpO298%から100%はPaO2100Torrからなんと500Torr程度までの間を取りうることがわかりますね。

つまり、不必要な酸素投与が行われており、酸素投与のデメリットから下げるべきポイントとなるのです。

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