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【連載】酸素の上げどき?下げどき?

デキる看護師は呼吸数に着目する!

執筆 和足孝之

Mahidol University, Faculty of Tropical Medicine.

誰でも簡単に見える数値であるSpO2はその簡易さ故に、経験の少ない看護師に過剰に信頼されている傾向がありますが、呼吸数にこそ注目すべき理由を解説します。


呼吸数こそが鋭敏な呼吸不全のマーカー

医師は呼吸不全の定義にはPaO2を用いるため、SpO2は参考値としています。(詳細はコチラ→「SpO2100%であれば、安心なのか?」)

では、どこを見ているのかというと病態を鋭敏かつ正確に示しているのは、実はバイタルサインである呼吸数なのです。

例えば、肺炎の患者さんでSpO2が下っていなくても呼吸数が早い状態は危険です。

生体は呼吸数を増加させることでより酸素を取り込み、SpO2を維持しています。

その代償が効かない程度にまで病態が悪化しSpO2が下がったときには、もう「時、既に遅し」なわけです。

このように呼吸数こそが、鋭敏な呼吸不全のマーカーとなっており、実際に医師の中で最も使われる基準の一つ、SIRS基準(Systemic inflammatoryresponse syndrome)(表)の中にも堂々と呼吸数が含まれているわけです。

SIRS診断基準表

表 SIRS基準

また肺炎の入院適応の指標(CURB65、A-DROP等)でも、やはり呼吸数が重要な位置を占めています。

上記のようにSpO2は指標に入っていません。

このように医師はSpO2の上がり下がり以前に呼吸数の変化をより重要視しています。

面白いことに、とある研究では急変が起こる前にバイタルサインの呼吸数の記録が欠落していることが多いことを鋭く指摘しています。

呼吸数を測定しないということは、実は急変の初期を見逃している可能性が示唆されるのです。

(『ナース専科マガジン』2015年3月号から改変利用)

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