【連載】がん副作用ケアを極める!

【がん治療の副作用】悪心・嘔吐はなぜ起こる?どう防ぐ?

解説 吉田久美子

神奈川県立がんセンター がん化学療法看護認定看護師

悪心は主観的な感覚であるため、不快さの度合いや症状の現れ方には個人差があります。

出現リスクをアセスメントし、予防的な関わりを行っていくことが大切です。


悪心・嘔吐の要因を知る

悪心・嘔吐が出現した場合は、以下のような要因が考えられます。

  1. がん化学療法を行っている
  2. 放射線治療を行っている
  3. 催吐性リスクの高い抗がん剤を使用している
  4. がんの進行による消化管機能低下がある
  5. 病期が進んでいる
  6. 鎮痛薬や抗生物質、気管支拡張薬などを使用している
  7. 不安感が強い
  8. つわりや乗り物酔いなどの強い吐き気の体験がある

がん化学療法の場合

出現の時期、持続時間、要因によって次の3つに分類され、抗がん剤の種類や投与量、組み合わせなどによって発現率が変化します。

  1. 急性
  2. 遅発性
  3. 予期性

また、がん化学療法による悪心・嘔吐は、一般的に男性よりも「女性」、高齢者よりも「50歳未満の若年者」、「妊娠時のつわり体験のある人や乗り物酔いをしやすい人」に出現しやすい傾向があるといわれています。

放射線療法の場合

照射部位と範囲によって発現率が変化します。

放射線治療の催吐性リスクの分類

放射線治療の催吐性リスクの分類

続いては、がん化学療法におけるアセスメントについて解説します。

抗がん剤の催吐リスクをアセスメントする

がん化学療法では、催吐性リスク別に制吐剤を使い分けます。患者さんが使用している抗がん剤の種類を把握しておくことが重要です。

催吐性リスクの分類

  1. 高度:催吐頻度90%以上
  2. 中等度:催吐頻度30-90%
  3. 低度:催吐頻度10-30%
  4. 最小度:催吐頻度10%以下

悪心・嘔吐の出現の仕方と制吐薬の使い分け

悪心・嘔吐の出現の仕方と制吐薬の使い分け

治療による副作用以外の要因をアセスメントする

悪心・嘔吐は、がん化学療法や放射線治療の副作用だけでなく、さまざまな要因によって生じます。患者さんの病態や使用している薬剤を確認することも大切なポイントです。

病態

  1. がんの進行による腹膜炎、消化管運動の機能低下、腸閉塞など
  2. 腹水、胸水、浮腫 (⇒抗がん剤の排泄が遅れるため)
  3. がんの浸潤・転移の有無、肝腫大、腹水腹膜播種など
  4. 電解質バランスの崩れ

薬剤の使用

  1. オピオイド、ジギタリス、抗生物質、NSAIDs、テオフィリンなど
  2. 降圧薬による血圧の変動

“客観的な評価”と“本人の訴え”によって評価する

悪心・嘔吐の評価は、米国NCIの有害事象共通用語基準(CTCAE)を用いて行います。

悪心・嘔吐の評価スケール(CTCAE)

悪心・嘔吐の評価スケール(CTCAE)

しかし、催吐性リスクが最小度であっても症状を訴える患者さんがいるように、悪心は主観的なものなので程度には個人差があります。

患者さんの訴えを軽視せず、訴えから症状の程度や持続時間を把握し、制吐薬の効果を見極めることが大切です。

(『ナース専科マガジン』2012年12月号から改変利用)

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