【連載】がん副作用ケアを極める!

化学療法時の倦怠感の予防と対処の3つのポイント

解説 坪井 香

神奈川県立がんセンター がん看護専門看護師

「体がだるい」「休んでも疲れがとれない」などの症状は、化学療法では必ずといっていいほど出現する副作用です。

命に直結する問題ではないからと軽視されがちですが、倦怠感は治療の継続を阻害する要因となるため、適切な対処が求められます。


倦怠感の予防と対処の3つのポイント

ポイント1.骨髄抑制や薬剤によって倦怠感が出現することを伝える

まずは、不安を増強させないよう、倦怠感が現れる可能性を治療開始前に説明しておきます。

倦怠感が現れる要因として、「骨髄抑制に伴う貧血」と「ステロイド薬の使用に伴う睡眠障害」などがあります。

【骨髄抑制に伴う貧血】

抗がん剤によって骨髄の造血機能が傷害される(骨髄抑制)と、赤血球が減少し、貧血が出現します。

貧血によって二次的に倦怠感がみられる場合には、「輸血や薬剤によって貧血を改善する」「血流が悪くなっているため、体を冷やさないようにする」などの対応を行います。

【ステロイド薬使用に伴う睡眠障害】

副作用として睡眠障害(不眠)が生じることがあり、睡眠パターンの乱れは倦怠感につながる可能性があります。

倦怠感が出現しやすい主な抗がん剤

倦怠感が出現しやすい主な抗がん剤

ポイント2.倦怠感の要因を除去する

残念ながら確実な予防法がなく、薬剤によるコントロールも標準化されていないのが現状です。

看護師の役割としては、「倦怠感を引き起こす要因の評価」「全身状態を管理するための情報収集」「多職種への情報提供」が重要です。

  1. 嘔吐や発熱など倦怠感の要因が明らかな場合⇒医師や薬剤師と連携しながら薬物治療を検討する
  2. 睡眠障害に伴う倦怠感の場合⇒睡眠時間の質を評価し(1回の睡眠時間、時間帯、眠りの深さなどの睡眠パターンの観察)、照明や音、寝具など療養環境を整える

ポイント3.消費エネルギーをコントロールする

倦怠感の出現する時間帯、パターン、持続時間、日内での疲労の変化などを確認し、負担の少ない活動の仕方や活動の優先順位、休息のタイミングを患者さんと一緒に考えます。

休息には昼寝も有効ですが、時間が長すぎるとかえって倦怠感が増すので注意が必要です。

セルフケア支援の3つのポイント

ポイント1.「できない」ときのサポート体制を作る

倦怠感が生じると、それまでと同じように活動することが難しくなります。

家族や周囲の協力が必要であることを、患者さんだけでなく協力者にも理解してもらえるよう関わり、できないことを頼める環境作りを支援します。

ポイント2.栄養不足による体力低下を防ぐ

体力低下を防ぐための工夫は以下の3点です。

  1. 食べられるものを食べられるときに摂取する
  2. 食事だけで十分な栄養を摂れないときには栄養補助食品を活用する
  3. 疲労物質の蓄積を防ぐため、1000ml/日以上の水分を摂取する

ポイント3.適度な運動を取り入れる

体がつらいからと寝ているばかりでは、心肺機能や筋力が低下し、ますます倦怠感が強まります。

運動には、代謝向上や抑うつの改善などの効果も期待できます。

達成可能な範囲で目標を立て、生活のなかに徐々に運動を取り入れてみましょう。

おすすめは、ウォーキングやサイクリング、ヨガなどの軽度~中等度の有酸素運動です。

(『ナース専科マガジン』2012年12月号から改変利用)

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