【連載】がん副作用ケアを極める!

化学療法時の口腔トラブルの予防と対処の3つのポイント

解説 山口 里枝

神奈川県立がんセンター 緩和ケア認定看護師

抗がん剤の副作用として多いのは、「口内炎」と「口腔乾燥」。完全に予防することは困難ですが、口腔内を清潔に保つことによって、発生時期を遅らせたり、症状を軽くしたりすることが可能です。


【抗がん剤の副作用ケアまとめ記事】
*【抗がん剤の副作用】がん化学療法とは?副作用の出現時期や症状別の看護

口腔トラブルの予防と対処の3つのポイント

ポイント1. がん治療開始前から口腔ケアを指導する

 ケアの基本は、清潔保持(歯磨き)と保湿(うがい)!

 特別なケアではありませんが、重要性を理解してもらうことが大切です。「きちんと磨けているか」「唇や頬の内側、舌側面の状態はどうか」といった、口腔内を観察する習慣をつけるよう指導しましょう。

ポイント2. 口内炎には薬剤+口腔ケア

 抗炎症作用含嗽薬(アズノール®うがい液など)や口腔粘膜用ステロイド(デキサルチン®など)、痛みが強い場合は歯科用局所麻酔薬(キシロカイン®など)を使うこともあります。

 口の中がざらざらする程度の軽い症状に対しては、白湯や生理食塩水で2~3時間ごとにうがいを行います。

ポイント3. 口腔乾燥にはこまめなうがい+保湿剤

 うがいのほか、加湿器による室内の保湿やマスクの着用も有効です。乾燥がひどい場合は以下のような保湿剤を使用します。

 1. 口腔内⇒口腔用ジェル状保湿剤(オーラルバランス®など)、医療用ごま油
 2. 口角や口唇⇒白色ワセリン(プロペト®など)

 唾液分泌を促す目的で「アメやガムを食べる」「舌や唇、頬を動かす」「顎下腺や耳下腺をマッサージする」のも効果的です。

セルフケア支援の3つのポイント

ポイント1. シンプルで継続可能なケアを取り入れる

 歯磨きは毎食後に行うことが理想的ですが、痛みが強い場合は1日1回でも構いません。セルフケアは継続することが重要です。

 1. 歯ブラシの選び方⇒ヘッドが小さく、柔らかな毛質のナイロン製(乾きやすいので清潔を保てる)
 2. 歯磨きができない場合⇒水や生理食塩水でうがいだけでも行う

ポイント2. 熱いもの、刺激の強いものを避ける

 温かい食べ物は人肌程度に冷まし、酸味や辛味など刺激の強い食品を避けます。

 1. おすすめの食材⇒刺激が少なく、水分が多くてやわらかいもの(おかゆ、牛乳、ゼリーなど)
 2. 調理の工夫⇒やわらかく煮込む、とろみをつける、裏ごしをする、薄い味付けにする

ポイント3. 味覚障害には食前のうがいが効果的!

 味覚障害は、抗がん剤や放射線による味覚細胞の障害、唾液分泌の障害による口腔乾燥などによって生じます。

 抗がん剤起因の場合は、治療終了後1か月ほどで回復しますが、放射線起因の場合は回復まで3~4か月、場合によっては1年以上要することもあります。

 食前にうがいをすることで口腔内が保湿され、味を感じやすくなります。

 味覚障害においては特に苦味や塩味の変化が大きいので、調味料などで調節しながら、食べやすい味付けを患者さんと一緒に探してみましょう。

(『ナース専科マガジン』2012年12月号から改変利用)

ページトップへ