【連載】がん副作用ケアを極める!

脱毛はなぜ起こる?どう対処する?

解説 瀬畑 善子

神奈川県立がんセンター 乳がん看護認定看護師

脱毛に対する効果的な予防法はありません。不安を抱える患者さんの気持ちを少しでも軽減できるように、予測される脱毛の開始時期や再育毛までの期間、容姿を整える方法などの情報を提供することが大切です。


▼がん化学療法についてまとめて読むならコチラ
がん化学療法とは?副作用の出現時期や症状別の看護


脱毛の要因を知る

 脱毛が生じた場合は、以下のような要因が考えられます。

 1. がん化学療法を行っている
 2. 放射線療法を行っている
 3. ホルモン療法を行っている
 4. 脱毛の発生頻度が高い抗がん剤を使っている
 5. 放射線の照射領域が頭部である(頭髪の脱毛の場合)

症状を知る

 1. 細胞増殖時に作用する抗がん剤は、細胞分裂が著しく成長の早い毛母細胞にも影響を与えてしまうため、脱毛が起こる。
 2. 最初の抗がん剤投与から2~3週間後に脱毛が始まり、短期間でごっそりまとまって抜ける。頭髪の場合は、抜け始めから数日で全体の7~8割が抜けるといわれる。
 3. 脱毛の発現率は抗がん剤の種類や投与量によって異なる。多剤併用の場合は、全身に及ぶ可能性が高くなるといわれる。
 4. 脱毛が始まる時期に、頭皮にピリピリとした痛みが生じることがある。これは、頭皮の真皮内にある毛根周囲の神経が、がん化学療法の刺激を受けるためである。
 5. 一般的に、抗がん剤の治療完了後2~3か月から発毛が再開する。クセ毛や白髪が出ることも多い。約1~2年でウィッグがなくても生活できる長さ(ショートスタイル)になる。

脱毛が出現しやすい主な抗がん剤
表 脱毛が出現しやすい主な抗がん剤

セルフケア支援の4つのポイント

ポイント1.治療中も洗髪を行い、頭皮の清潔を保つ

 脱毛を恐れて洗髪を嫌がったり、髪がないから洗わなくてもいいと思っている患者さんがいますが、それは誤りです。頭皮の皮脂分泌量は顔の2倍もあるため、不潔な状態が続くと毛膿炎などの感染症を引き起こすことがあります。

 治療中は刺激の少ない中性のシャンプーを選び、よく泡立てて、頭皮を優しくもむように洗いましょう。

ポイント2. ブラッシングと頭皮マッサージで頭部の血行を促す

 やわらかいブラシで頭皮を優しくブラッシングしたり、治療後に頭皮のマッサージを行うことで頭部の血行がよくなり、育毛が促進されます。

ポイント3. カラーリングやパーマを行ってもよい時期を説明する

 ヘアダイは頭皮への刺激が強すぎるため、治療後すぐにはできません。ヘアダイやパーマは治療終了から1年後、ヘアマニキュアは半年後が開始の目安です。育毛剤は、頭皮が落ち着く3~4か月後から使用できます。

 抗がん剤によって体質が変わることもあるため、以前使用していた毛染め液であっても使用前にパッチテストを行うことをおすすめします。

ポイント4. 男性だからと先入観を持たずに情報提供を行う

 男性患者さんの場合、治療開始を機に思い切ってスキンヘッドにしてしまうなど脱毛をあまり気にしていないような感覚があります。しかし、社会復帰を前に悩んでいる方もいるはずです。先入観を持たずに声をかけ、ウィッグなどの情報提供をする配慮も必要です。

(『ナース専科マガジン』2012年12月号から改変利用)

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