• 公開日: 2014/1/6
  • 更新日: 2020/3/26

がんと漢方薬のこと ~がんや治療に伴う症状の緩和に役立つ漢方薬について学ぼう①~


2015年1月25日(日)に 『ナース専科』とNPO法人キャンサーネットジャパンは、がん患者さんに役立つ漢方薬に関するセミナーを共催しました。

ここでは、漢方を通してがん患者さんの“困った”を解決するために「看護師に期待すること・できること」について、セミナーの講師を務めた医師・がん看護専門看護師からのメッセージを紹介します。


手当から、はじまる

iPS細胞による治療が行われ、遺伝子治療が進み、ロボット手術が活用される時代になりました。

しかし、医療現場で忘れてはならないことは、人と人との関係の大切さです。患者さんの表情から感情の変化を見つけ、声の調子から体調の変化を感じることが重要です。

検査データには表れない体の変化を見つけるためには、人の五感を最大限に活用する必要があります。自宅の状態を本人から聞くだけではなく、家族からも聞くことで、さまざまな状態を知ることができます。

医師や薬剤師には見せることがない姿をとらえることができるのは看護師です。

脈をとる手に感じる患者さんのぬくもり、肌の乾燥状態など、患者さんから得られるほんの些細なことが、大切な情報となります。看護で活用されているクリニカルパスに沿って行う観察だけでなく、実際に自分の目で見て、肌で感じた情報に真実が隠されています。

血液検査もレントゲンもない時代に培われてきた漢方医学では、目や耳で観察した情報から患者さんの状態を判断してきました。漢方医学というフィルターを通すことで、患者さんから受けた印象や感覚を表現することができるようになります。

皆さんが言葉にすることが難しかった情報を仲間と共有する手段の一つに漢方医学があります。患者さんの肌に手を当てることが、「看護の第一歩だ」ということを思い出しましょう。


こんなときに漢方が役立った!事例をご紹介

しびれ→牛車腎気丸

直腸がん手術を施行した67歳の男性患者さん。多発リンパ節転移を認めたため補助化学療法としてFOLFOX療法を実施。投与中にしびれがあったものの、牛車腎気丸や鎮痛剤を使用し12コースを完遂しました。オキサリプラチンの投与終了後も手足のしびれが残ったため、牛車腎気丸や鎮痛剤を継続。しかし、あまり改善しませんでした。

患者さんから仕事に支障が出ると相談を受け、牛車腎気丸に加えてブシ末を使用。1gから徐々に増量し4カ月後に5gでほぼ良好なコントロールが得られました。ところが、肺肝骨再発により再開した化学療法で若干増悪。そこで、再度ブシ末を増量しコントロールしたところ、日常生活にほぼ支障がなくなり、仕事も継続しています。

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