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【連載】伝える技術

【傾聴の技術】話が長い患者さんの場合

解説 小山 美智子

株式会社C-plan 代表取締役 医療経営コンサルタント/医療接遇アドバイザー

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傾聴の大切さは理解していても、忙しさでおろそかになったり、相手の思いを十分にくみ取れなかったりすることは多いもの。
また、上手に聴くためには相手の気持ちをうまく引き出すことも大切です。ここでは、シーン別に傾聴のコツを紹介します。


【シーン1】話が長い患者さんの場合

話が長く、要領を得ない患者さんだったが、仕事だと思いがんばって聴いていた。

イメージイラスト

「がんばって聴いていた」という表現から、ちょっと面倒だなという気持ちがあった様子が伺えます。

このケースでの問題は2つです。面倒だと思っていることが相手に知られてしまう可能性があること。

予定されている仕事に支障をきたすかもしれないということです。

前者については、自分の気持ちが表情や態度に出ていないかを、十分に注意する必要があります。

対処法としては、「話の途中で申し訳ないのですが、ここまでの私の理解を確認させていただいてよろしいですか?」と、途中で話を区切らせてもらいます。

そうすることで、話が長引いていることに患者さん自身が気づくことがあります。

多少強引であっても、一区切りつけることがとても大事になります。

また、話が長くなりそうな場合には、あらかじめ確保できる時間を相手に伝えます。

あるいは、ほかのスタッフに30分経っても話が終わらないようなら、声をかけてもらい、その場を離れるきっかけにするとよいでしょう。

【シーン2】横にいられると「気まずい」と言われた場合

沈黙も必要だと思い、無口な患者さんの側で黙って座っていたら「あの看護師といると気まずい」と言われた

イメージイラスト②

これは空気感の問題です。家族間ではベースに信頼感があるため、話をしなくとも緊張を伴う空気感は出にくいのですが、ターミナルなどの場面は別として、沈黙は往々にして緊張感をもたらします。

患者さんが静寂を望んでいることを確認できていれば、問題はありません。

しかし、話しかけても反応が薄い、話したくないという雰囲気があるからなど、患者さんの意思を確認せずに決めつけて会話をしないのであれば、自分に関心がないという印象を患者さんに与えてしまいます。

患者さんのなかには、話が盛り上がらないまでも、世間話程度の空気感を求めていることがあります。

まずは、どのような話題が好きなのか、社会的背景はどうなのか、患者さんのことを理解したうえで言葉かけをし、患者さんに関心を寄せていることを伝えていきます。

患者さんがもらした何げない一言を会話の糸口に、その人が話してくれた話題のなかで会話を重ねていくようにするとよいでしょう。

【シーン3】表情が怖いと言われた場合

相手の目をしっかり見て話を聴いていたら「怒っていますか?」と言われた

イメージイラスト③
日頃、表情が豊かな人が無表情になると、そのギャップから人は怖さ・冷たさを感じることがあります。

なかでも人は真剣になると無意識で、口角が下がり、ほかの人に怖いという印象を与えてしまうことがあるのです。

まずは自分が無意識の状態にあるとき、どのような印象を与えるのかをチェックすることが大切です。

とはいえ、何げない表情なので自分で確認することは難しいもの。

ほかの人に怖い表情をしていたら教えてほしいとお願いをして、できれば写真やビデオなどに撮ってもらい、その表情を確認したり、できるだけ表情をつくることを意識し、角を上げる習慣をつけます。

また、「真剣になると顔が怖いと言われることがあるのです」など、あらかじめ患者さんに自分の顔の特徴を話しておくのもよいでしょう。

さらに、「怖い」と言われたら、「教えていただき、ありがとうございます」と自分が気づけなかった特徴を教えてもらい、感謝していることを伝えるのも効果的です。

次ページは「同僚の意見に反対したら気まずい関係に・・・」「話が途切れてしまう場合」について解説します。

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