【連載】伝える技術

好きなことをやって死ぬ!と言い張る糖尿病患者さんへの対応

解説 寺崎 和代

福井大学医学部附属病院 北4病棟・看護師長

療養上の注意点から治療へのインフォームドコンセントまで、看護師が患者さんに何かを伝えなければならない場面は多いもの。

それだけに 「うまく伝えられなかった・・・」という経験も多いことでしょう。

ここでは、ナース専科コミュニティ会員へのアンケートから実際に起こった「伝わらなかったケース」を紹介。どこが問題だったのかを一緒に考えてみます。


今回の相談

糖尿病による血糖コントロールを目的として入院してきた患者さん。

生活改善のための生活指導を行っていますが、「食べたいものを食べて、やりたいことをやって死ぬ」と言い張り、改善が一向に進みません。

どんなかかわりを心がければよいですか?

1.患者さんの言葉に翻弄されない

患者さんからこのようなことを言われてしまうと、看護師としてはショックを受けて動揺したり、やる気をなくしたり、なかには「てこずる患者さん」とレッテルを張ってしまう人もいるかもしれません。

まずは患者さんのこのような態度に、看護師は翻弄されない、言葉の表面だけにとらわれないことが大切です。

患者さんがなぜそう思うのか、このようなことを言うのかを考えてみましょう。

もしかしたら患者さんは、「これまでに言われたことをやってはみたけれど、血糖値は改善しなかった」や「合併症が出てきてつらい」などの心理状態から、ついこのような言葉が出てきたのかもしれません。

患者さんが看護師に言葉で感情をぶつけてきた場合、患者さんの言葉をそのままフィードバックするという方法があります。

例えばこのケースでは、看護師から「食べたいものを食べて、やりたいことをやって、死にたいと思っているのですね」などと言われると、患者さんも「ちょっと言い過ぎたな」「それはないよな」など、自分が言ったことを客観視でき、気持ちを落ち着けることができるようになります。

2.「できないこと」ではなく「できたこと」 を見つける

糖尿病だけでなく、高血圧や慢性腎臓病などの生活習慣病や慢性疾患は、どうしても生活指導が必要になってきます。

すると看護師は「カロリーを制限しないから、血糖コントロールができない」など、「できないこと」に焦点を絞りがちです。

しかし患者さんからすれば、「それができれば苦労しない」と反発したくなっても無理はありません。

それよりも患者さんの「できたこと」や「少しでも取り組めたこと」を見つけるようにするとよいでしょう。

例えば、糖尿病であれば「昨日は運動療法で頑張りましたね」や「食事指導の講習はしっかり受けていらっしゃるのですね」などです。

3.「看護師は患者さんの支援者」で あることをわかってもらう

患者さんに対し、「ここを改善してもらいたい」と考えると、自ずと指導的な立場からの発言になり、患者さんは心を閉ざしたり、反感を抱いたりしがちです。

これでは患者さんの耳に言葉は入りません。

看護師が伝えたいことを患者さんに届けるには、看護師が患者さんとともに闘う姿勢が大切です。

看護師が闘うのはあくまで糖尿病であり、血糖コントロールができない患者さんではありません。

患者さんには「看護師はあなたの味方である」こと、「一緒に闘うための支援者である」ことを伝え、「どうしたら改善できるか、一緒に考えていきましょう」などの言葉かけをしていくことが重要です。

(『ナース専科マガジン』2015年4月号から改変利用)

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