【連載】伝える技術

強い不信感を持っている患者さんへの対応

解説 寺崎 和代

福井大学医学部附属病院 北4病棟・看護師長

療養上の注意点から治療へのインフォームドコンセントまで、看護師が患者さんに何かを伝えなければならない場面は多いもの。
それだけに 「うまく伝えられなかった・・・」という経験も多いことでしょう。
ここでは、ナース専科コミュニティ会員へのアンケートから実際に起こった「伝わらなかったケース」を紹介。どこが問題だったのかを一緒に考えてみます。


今回の相談

 医療に対して不信感が強い患者さんがいます。治療方針の説明でも、「その薬は本当に必要か」「余分な検査をするのではないか」「俺から余分な金を取ろうと思っても無駄だ」などの不信感を訴えられ続けています。どのように対応すればよいですか?

1.患者さんが不信感を 抱くようになった理由を探る

 患者さんの医療に対する不信感をぬぐうのは、容易ではありません。まずは患者さんの言葉に動揺しないことです。「余分な検査をするのではないか」という患者さんの言葉に反応し、「そんなことはないですよ」「これは必要な検査ですよ」などのように、一所懸命に否定しようとしても、すでに不信感を抱いてしまっている患者さんの耳には入りません。

 それよりも、まずは医療に対して不満に思っていることを受け止め、どういうことに不満なのか、何が不信につながったのか、その背景や理由を探ることが大切です。

 例えば、術後に発熱したり出血したようなとき、医師は患者さんに術前の説明で、「術後に発熱や出血などの合併症が起こることがある」ことを伝え、同意書も得ているため、治療以外にフォローは必要ないと考えがちです。


 しかし、患者さんは発熱や出血を合併症とは思わず、医療ミスだと思っているかもしれません。このような経験を背景として、明らかなトラブルが起きていなくても、医療への不信感を高めてしまう患者さんもおり注意が必要です。

2.医師の説明の場に看護師も同席する

 医療に対する不信感が強い患者さんに対しては、医師からの説明の場に看護師も同席し、患者さんの反応を観察したり、説明後に患者さんの気持ちを聞いてみてください。

 そこでもし検査や手術、術後の経過について、まだよく理解できていない様子が見受けられたら、看護師は補足説明をしたり、場合によっては、医師に患者さんがよくわかっていない部分への再説明をお願いすることも必要です。

 例えば、検温のときに患者さんが「熱が出てつらい、どうしてだろう」と不安を感じていたり疑問に思っているようであれば、その発熱に対して医師から説明してもらうように促します。

3.支援者であることを伝え 信頼関係をつくる

 医療不信の強い患者さんに対しては、まずは看護師が患者さんの味方であり、一緒に闘病していく支援者であると伝えることが必要です。信頼関係が構築されていくと、患者さんも何が不満だったのか、医療に対してなぜ不信を抱くようになったのかを、看護師に話してくれるようになり、医療不信の解消のきっかけをつくることができます。

(『ナース専科マガジン』2015年4月号から改変利用)

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