【連載】IN/OUTバランスと輸液

脱水ってどんな状態?

解説 三宅 康史(みやけ やすふみ)

昭和大学医学部 救急医学講座 教授 昭和大学病院 救命救急センター長

脱水や浮腫などの症候だけでなく、腎不全、心不全、糖尿病など、さまざな疾患の原因となるIN/OUTバランス(水分出納)。ここでは、IN/OUTバランスについて解説します。


脱水はどの部分の水分が欠乏しているの?

細胞外液そのものや細胞内液中の水分が失われた状態です。

失われたものによって脱水には種類がある

脱水には、

  1. 「volume depletion(体液喪失)」:細胞外液そのものを失うもの
  2. 「dehydration(狭義の脱水)」:細胞内外の水を失うもの

があります。

後者は、何らかの原因で細胞外液の水分が失われた場合に、細胞外液の浸透圧が高くなり、それを調節するために細胞内液から細胞膜を通って水だけが移動してくるものです。これら2つの状態を総称して脱水と呼ぶこともあります。

脱水と体液喪失の違い

volume depletionは、水とナトリウムが等量で失われるためナトリウム濃度は正常で、体液量だけが減少します。一方のdehydration は、水のみが喪失するのでナトリウム量に変化はなく、細胞外液のナトリウム濃度が上昇します。

ただし、低栄養状態(低アルブミン血症)での脱水では、電解質バランスも崩れていることが多く、細胞内液のカリウム濃度の低下などに注意が必要です。

重症度によって症状や原因はさまざま

身体にみられる症状は重症度によって異なります。

身体にみられる症状の重症度は失われた水分(水/体液/その両方)の程度で判断されます。

  1. 失われた水分が体重の2%ほど(1~2L):軽度の脱水症です。体重の減少や口渇感がみられ、尿量も減少し始めます。
  2. 失われた水分が体重の6%ほど(2~4L):中度の脱水症です。口渇感が強くなり、口腔内も乾燥、皮膚もザラザラとしてきます。また体重の減少や尿量の減少も著しくなります。
  3. 失われた水分が体重の7~14%(4L以上):高度の脱水症です。全身が衰弱し、錯乱、興奮、幻覚といった精神症状が現れ、意識消失・昏睡がみられます。また、脱水熱といわれる体温の上昇、著しい乏尿が認められるようになります。この段階では、細胞そのものが脱水状態になっているため、症状に改善がみられず、死亡することもあります。

脱水の原因には慢性的であれば、低栄養、高齢者の感染症などがあります。急性である場合には下痢、嘔吐、腎障害の多尿期、熱中症、尿崩症などが考えられます。

(『ナース専科マガジン』2015年6月号から改変利用)

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