【連載】IN/OUTバランスと輸液

浮腫ってどんな状態? 膠質浸透圧・静水圧による浮腫

解説 三宅 康史(みやけ やすふみ)

昭和大学医学部 救急医学講座 教授 昭和大学病院 救命救急センター長

脱水や浮腫などの症候だけでなく、腎不全、心不全、糖尿病など、さまざな疾患の原因となるIN/OUTバランス(水分出納)。ここでは、IN/OUTバランスについて解説します。


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【浮腫とは?】浮腫のメカニズムと治療・ケア


浮腫はどの部分に水分が溜まっているの?

 細胞間質に過剰に水分が貯留した状態です。

体液過剰の多くは腎機能低下が原因

 本来、IN/OUTはゼロバランスですが、何らかの原因によりOUTが減少して、体内に過剰な水分が保持されてしまった状態が浮腫です。

 腎臓が正常に機能していれば、多少過剰に塩分や水を摂取しても尿量で調節され、一過性の体液過剰で終わりますが、腎機能が低下し、尿量が減少していると、体液過剰の状態が持続することになります。

 ただし、浮腫を起こす疾患は腎機能障害によるものばかりではありません。心不全や肝硬変(低アルブミン血症)、炎症や敗血症、薬剤性など多岐にわたります。

浮腫はどうして起こるのか

 浮腫の原因について、ここでは2つに大別して説明しましょう。

1.静水圧による浮腫

 一つは、うっ血性心不全などによる静脈血圧の上昇で、還流が阻害されることで形成される浮腫です。

 還流の阻害によって血管から細胞間質へと水分が溢れ出すと、今度は細胞間質から細胞内へと水分が移動し、体液が過剰な状態になります。

静水圧による浮腫説明図

2.膠質浸透圧による浮腫

 もう一つが、膠質浸透圧やナトリウム濃度の低下です。膠質浸透圧とは血漿蛋白による浸透圧で、血管外の水分を血管内に引っ張る圧力をいい、血漿蛋白の中心となるアルブミンの濃度によって変化します。

膠質浸透圧による浮腫説明図

 細胞間質に溜まった過剰な水分は、膠質浸透圧によって静脈血に引き込まれ、腎から体外へと排泄されます。しかし、血中のアルブミンが減少すると、膠質浸透圧が減少して静水圧とのバランスが崩れ、過剰な水分を血管内に引き込めなくなります。そのため、細胞間質に水分が溜まってしまうのです。

 さらに、細胞外液で水分過剰になるとナトリウム濃度が下がるため、浸透圧を維持するために、細胞内液へと水分が移動します。それによって細胞内の水分が過剰になります。

 10秒ほど皮膚を圧迫した後、40秒以内に元に戻ったならば、アルブミン減少による膠質浸透圧の低下(fast edema)、戻らない場合は心不全による静脈圧上昇(slow edema)と考えられます。

(『ナース専科マガジン』2015年6月号から改変利用)

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