【連載】IN/OUTバランスと輸液

5%ブドウ糖液、生理食塩液の違いとは?

解説 飯野 靖彦(いいの やすひこ)

日本医科大学名誉教授

解説 三宅 康史(みやけ やすふみ)

昭和大学医学部 救急医学講座 教授 昭和大学病院 救命救急センター長

脱水や浮腫などの症候だけでなく、腎不全、心不全、糖尿病など、さまざな疾患の原因となるIN/OUTバランス(水分出納)。ここでは、IN/OUTバランスについて解説します。


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5%ブドウ糖液と生理食塩液

血漿の浸透圧とほぼ等しい(等張)濃度にするために、5%ブドウ糖液には水に5%のブドウ糖と、生理食塩液には水に0.9%(154mEq/L)の塩化ナトリウム(NaCl)がそれぞれ添加されています。

5%ブドウ糖液

水を補給するのに、なぜ5%ブドウ糖を入れるのでしょう?

ブドウ糖は血液の中に入るとすぐに代謝され、エネルギーとなって水(自由水という)と二酸化炭素に分解されます。

いったん血管内から細胞外に分布された水は、細胞外液の浸透圧が下がることで、細胞内液へと移動します。

そして、体液の分布比率に準じて、細胞内に2/3、細胞外に1/3の割合で分布されます。

だから5%ブドウ糖液は、単純に細胞内と細胞外に水を補充するのに適しているのです。

生理食塩液

生理食塩液は、血管内に投与されると細胞外液に分布します。また、細胞内外に浸透圧差が生じることがないので、細胞外から細胞内へと水分が移動することもありません。

用途としては、細胞外液に水分と電解質を補給したい場合や、出血、ショック、熱傷、手術などのときに細胞外液を補給するために選択されるほか、大量嘔吐や糖尿病性昏睡の脱水補正を目的に投与されることもあります。

まれに、生理食塩液に含まれるNa+とCl-によって電解質バランスが変化し、高クロール血症、代謝性アシドーシスが引き起こされることがあるので注意が必要です。

このように、2つの輸液製剤の基本的な違いは、Na濃度と分布する場所の違いと考えることができます。

(『ナース専科マガジン』2015年6月号から改変利用)

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