【連載】IN/OUTバランスと輸液

リンゲル液とは? 1号液~4号液はそれぞれどう違う?

解説 三宅 康史(みやけ やすふみ)

昭和大学医学部 救急医学講座 教授 昭和大学病院 救命救急センター長

解説 飯野 靖彦(いいの やすひこ)

日本医科大学名誉教授

脱水や浮腫などの症候だけでなく、腎不全、心不全、糖尿病など、さまざな疾患の原因となるIN/OUTバランス(水分出納)。ここでは、IN/OUTバランスについて解説します。


リンゲル液とは?

生理食塩液にはNaとClが添加されていますが、KとCa2+を添加して、より細胞外液(血漿)の電解質組成に近づけたのがリンゲル液です。

電解質組成がNa<Clが特徴で、出血性ショックや熱傷、手術時、代謝性アシドーシスの治療に適応がありますが、最近ではほとんど用いられません。

その理由は、リンゲル液には血漿にあるHCO3が含まれていないからです。代わりにClが大量に入っています。

そこで、HCO3の代わりに乳酸イオンや酢酸イオンを加え、Clの総量を押さえたのが、乳酸リンゲル液および酢酸リンゲル液です。

乳酸リンゲル液・酢酸リンゲル液

HCO3は体内での酸塩基平衡を維持する物質で、乳酸や酢酸は代謝されるとHCO3になるため、体内でアルカリ化剤として機能します。

「・・・酸リンゲル液」はNa>Clが特徴であり、等張液の中では、最も細胞外液の電解質組成に近くなっています。ただし、肝障害の患者さんでは乳酸代謝ができず、乳酸リンゲル液の使用によって乳酸性アシドーシスを招くことがあります。

そのため最近は、代謝性アシドーシスを伴う体液低下例でより細胞外液組成に近い、重炭酸イオンを加えた重炭酸リンゲル液も使われています。

生理食塩液やこれらのリンゲル液は血漿浸透圧と等しいために「等張液」と呼ばれますが、その作用から「細胞外液補充液」とも呼ばれます。

細胞外液を補充する輸液製剤

※次は、ソリタ®などの1号液~4号液を解説します。

低張液の1号液~4号液

低張液には、1号液(ソリタ®T1号)、2号液(ソリタ®T2号)、3号液(ソリタ®T3号)、4号液(ソリタ®T4号)があります。

その違いは、生理食塩液と5%ブドウ糖液を混合した割合と、それによって生じる電解質の含有量です。

細胞外液への分布は、1号液2号液≧3号液4号液、細胞外液への分布は、1号液2号液<3号液4号液の関係になります。また1号液、4号液にはKは含まれません。

生理食塩液を5%ブドウ糖液で 2/3~1/2に希釈

  1. 1号液(開始液):病態が明確となっていない脱水患者などに対して、識別前に投与されます。カリウムを含んでいないので、腎機能が低下した患者さんへの投与も可能です。
  2. 2号液(脱水補給液):カリウムとリンが添加された輸液製剤です。細胞内液、細胞外液の電解質補正のために投与されます。

生理食塩液を5%ブドウ糖液で 1/3~1/4に希釈

  1. 3号液(維持液):経口摂取が不十分な場合に、水・電解質の維持輸液を目的として投与されます。ナトリウム以外にカリウム、リン、マグネシウムなどが含まれ、体重60kgの成人が3号液(500mL)を5本投与すると、1日の必要水分量と電解質量、そして異化を抑える最低限のブドウ糖を補給できる計算になります。ただし、カリウムが含まれているので、腎機能が低下している患者さんへの投与では、尿量の観察が必要になります。
  2. 4号液(術後回復液):カリウムとリンを含まず、主に電解質補正の必要がない水分補給を目的に投与されます。3号液適応の患者さんに対して、カリウムを投与したくない場合に使用するほか、術後の早期輸液、腎機能障害、新生児や乳幼児、高齢者に適しています。

(『ナース専科マガジン』2015年6月号から改変利用)

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