【連載】IN/OUTバランスと輸液

「副腎不全」への輸液療法|インアウトバランスから見る!

解説 垂水 庸子(たるみ ようこ)

昭和大学病院総合内科(ER)

脱水や浮腫などの症候だけでなく、腎不全、心不全、糖尿病など、さまざな疾患の原因となるIN/OUTバランス(水分出納)。ここでは、IN/OUTバランスについて解説します。


体内ではこんなことが起きている!

副腎不全(急性副腎不全)では、電解質の異常として低ナトリウム血症がみられます。これは、副腎皮質の機能低下により、ナトリウム吸収作用のあるコルチゾールやアルドステロンといった副腎皮質ホルモンが減少するためです。

加えて、アルドステロンの減少による高カリウム血症がみられたり、コルチゾールの作用不足によりインスリンへの感受性が高くなり、低血糖がみられたりする場合があります。

副腎不全の原因は?

副腎不全は、

  1. 副腎そのものの障害によるもの:アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)やがんの転移など
  2. 副腎の障害以外に原因があるもの

があります。

成人の場合、よくみられるのは後者で、膠原病など自己免疫疾患の患者さんが、長期にわたって服用していた副腎皮質ステロイド薬(以下、ステロイド薬)を休薬したときに起こるケースです。

これは、ステロイド薬を長期間服用すると、副腎の萎縮により副腎皮質からステロイドホルモンが分泌されなくなるためです。

また、ステロイド薬を服用している患者さんが感染や外傷など侵襲を受けたときも、相対的にステロイドホルモンが不足します。

ほかにも下垂体の障害により副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌が低下した場合に、ステロイドホルモンの不足が起こり得ます。

副腎不全でみられる症状

副腎不全では、全身倦怠感、易疲労感、悪心、嘔吐、軽度腹痛などさまざまな症状がみられますが、重症の場合は意識障害、血圧低下、さらにはショック状態になることもあります。

副腎不全には輸液でこう補正する!

ショック状態の場合は、輸液によって速やかに循環血液量を増加させる必要があります。

心機能をみながら、生理食塩液を1時間に500~1,000mLの速度で輸液し、ショックの離脱を図ります。 そして、ステロイドホルモンを補充するため、ヒドロコルチゾンを100mg静注後、さらに5%ブドウ糖液にヒドロコルチゾンを混注した溶液を点滴投与します。

ステロイドホルモンが充足されれば、速やかに回復し低血糖も改善されます。なお、高カリウム血症がみられることがありますが、治療が必要なほどの高値を示すことはあまりありません。

怠るとコワイ!輸液管理のポイント

◆大量に輸液を行うため、心負荷に注意します。バイタルサインとともに心機能のモニタリングをしっかりと行います。

(『ナース専科マガジン』2015年6月号から改変利用)

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