【連載】褥瘡ケア あなたの疑問をズバリ解決!

体位変換ができない場合の除圧は?

執筆 石川 環(いしかわ たまき)

岩手県立大学大学院看護学研究科 博士前期課程

体圧分散、ずれ・摩擦対策は、褥瘡を予防するためには欠かせません。ここでは、毎日行うなかで疑問に思うことやケアのコツを解説します。


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重症患者の場合、ローリング機能付き特殊ベッドを使用するか、褥瘡好発部位を部分的に圧抜きします

 体圧分散マットレスには、「自力体位変換能力があるか」「ヘッドアップ45度以上か」というような選択基準があります。

 重症患者さんで循環動態が不安定な場合には、当然、褥瘡予防より生命の維持が重要となるため体位変換が困難な状況になります。体位変換の判断基準は患者さんの状態に応じて行う必要があるため、医師に確認を行いながら決定していきます。

 褥瘡予防・管理ガイドラインでは、『重症集中ケアを必要とする患者にはどのような体位変換が褥瘡予防に有効か』というクリニカルクエスチョンに対し、『ローリング機能付き特殊ベッドによる体位変換を行ってもよい』と推奨しています。しかし、ローリング機能付き特殊ベッドは、費用が高くどの施設でも普及しているわけではないため、すぐに使用できる状況にはないことが多いでしょう。


 そこで、体位変換が行えず、ローリング機能付き特殊ベッドが使用できないような場合では、褥瘡好発部位を部分的に圧抜きする方法を実施します。

 近年、背抜きや圧抜き専用のマルチグローブが販売されていますが、グローブがない場合はビニール袋でも代用できます。具体的には、グローブを挿入した手を仙骨部や踵部などに滑らせて圧を一時的に解除します。

終末期患者では安楽を優先して考える

 終末期患者では、体位変換によって苦痛が生じることもあり、安楽を優先すると体位変換が困難となる場合もあります。さらに、エアマットレスの使用は、セルの膨張や収縮などにより、浮遊感や不快感につながることがあります。

 このときの判断基準は、患者さんの安楽が第一優先となります。そのため、褥瘡予防のために苦痛を増強させるような体位変換やエアマットレスの使用は避けなければなりません。このような状態の患者さんは、褥瘡のハイリスク状態であるにもかかわらず、体位変換が行えず、エアマットレスの使用も困難となり、褥瘡発生の危険が高まることに対するジレンマが生じます。

 そこで、近年では、寝心地に配慮し、波動を調整することが可能なエアマットレスが開発されているため、そのようなタイプのマットレスを選択したり、重症患者さんと同様に部分的な圧抜きを行うなどのケアを行うとよいでしょう。

(『ナース専科マガジン』2015年7月号から改変利用)

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