【連載】褥瘡ケア あなたの疑問をズバリ解決!

体圧分散用具にカバーを使用してもいい?

執筆 石川 環(いしかわ たまき)

岩手県立大学大学院看護学研究科 博士前期課程

体圧分散、ずれ・摩擦対策は、褥瘡を予防するためには欠かせません。ここでは、毎日行うなかで疑問に思うことやケアのコツを解説します。


伸縮性のないカバーやリネンを使用すると「ハンモック現象」が生じてしまうため、注意が必要です

体圧分散用具には、素材を考慮して専用カバーが使用されています。そのため、清潔保持のために別のカバーを使用すると、体圧分散効果に影響を及ぼす可能性があります。

例えば、伸縮性のないカバーやリネンを使用すると、「ハンモック現象」が生じてしまいます。

ハンモック現象とは

伸縮性がないことで身体を沈める機能が活かせず、その結果、接触面が減ってその部分のみの圧力が上昇してしまう現象です。
したがって、清潔保持が目的であるなら、体圧分散用具の洗濯方法や清潔保持方法を確認し、その方法に従います。

多くの体圧分散用具は、衛生面を考慮しているため、専用のカバーが販売されていたり、汚れが付きにくい素材でできていたりします。感染症などの心配がある場合には、メーカーに確認してから他のカバーを使用するとよいでしょう。

ベッドメイキングにも注意が必要

ベッドメイキングの方法にも注意が必要です。しわができないようにするためにシーツを張り過ぎてしまうと、ハンモック現象が生じてしまいます。

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そのため、シーツを使用する場合は、シーツをピンと張り過ぎないベッドメイキングを行うよう注意が必要です。

高齢者臀部モデルを用いた実験で、ベッド褥瘡予防・管理ガイドラインでは、すべり機能つきドレッシング材を高齢者の骨突出部位の褥瘡予防に使用することが推奨されています。このようなときに使用するドレッシング材は、リモイスパッドがオススメです。

このドレッシング材の特徴は、基材にナイロンニットを使用し、表面に高すべり性をもたせていることと、角質細胞間脂質であるセラミドを含有していることです。他のドレッシング材は皮膚より摩擦係数が高いものが多く、貼付することでかえってずれ力が増強してしまいます。

リモイスパッドは、高すべり性によりフィルムドレッシング材に比べ剪断力の発生が抑えられていることが確認されています。また、高齢者の皮膚は乾燥しやすいため、セラミドを含有しているドレッシング材を貼付することで保湿作用を図ることができます。

メイキングのコーナー法または結ぶ方法を行うことで、体圧分散寝具の圧再分配機能が阻害され、最大接触圧が有意に高くなるという結果が報告1)されています。

また、背部にバスタオルを使用すると、しわによる圧迫や蒸れにより湿潤環境が悪化します。失禁による汚染予防のための防水シーツも、素材によっては蒸れを助長させるため注意が必要です。

臨床の現場でルーチンに使用されている場合は、その患者にとって本当に必要であるのかアセスメントを行うことが重要です。

参考文献

1)Matsuo J et al:EWMA conference, 2012.

(『ナース専科マガジン』2015年7月号から改変利用)

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